自動車整備士を目指す!資格を取得出来る専門学校について解説! 大阪府門真市の整備士が自動車整備士のなり方を解説します!
「整備士」その言葉が自分の将来の選択肢の中に思い浮かんだ時、あなたならどんな進路を選びますか?
高校から工業科を目指す人もいると思います。大学で学ぶ人もいると思います。そして専門学校と言う世界に飛び込む人もいると思います。メリットとしては3級整備士の試験を飛ばして、2級整備士の資格から受験する事が可能ですし、実技試験が免除になります。
今回は「整備士を目指せる専門学校について」と題してお届けしたいと思います。
●専門学校の特色
まず専門学校とはどの様な教育機関になるのか見てみましょう。
◇専門学校とは
大学と同じ高等教育機関に位置し、修業年限は教育内容によって1年制~4年制迄様々です。自動車整備士を目指す場合は、自動車整備専門学校、自動車大学校、高校、職業技術専門校等が該当校になります。
教育内容は様々で、上図の様に一定の要件を満たせば専門学校卒業後、大学等に編入する事も可能です。
大学教育との大きな違いは、実践的な職業教育が行われる点です。その為各専門学校の学習内容は各分野の理論面の他に、実習や演習等実践を重視したカリキュラムが充実しています。そして就職後は即戦力として活躍出来る様、プロフェッショナルを育てる為の体制(学び)が整っています。
学校の種類 | 特徴 | 修業年限 |
---|---|---|
専門学校 | 特定の職業に必要な能力を学習します。実践を重視したカリキュラなので、就職後に即戦力として活躍する事を期待されます。 | 1年以上 (2年が多い) |
大学 | 幅広い分野の知識・教養を身に付けられると同時に、特定分野についても深く学習・研究します。専門学校に比べて、理論が重視される点や教養科目が多い事が特徴です。 | 4年 |
短期大学 | 2~3年 | |
専門職大学 | 専門性が求められる職業を担う為に必要な知識・理論、実践的スキルの両方を学習します。専門学校が実践を重視しているのに対し、理論・実践の両方を重視している事が特徴です。 | 4年 |
専門職短期大学 | 2~3年 |
◇自動車整備士養成施設とは
上記で専門学校について少しわかって頂けたかなと思いますので、次に「自動車整備士養成施設」について起筆したいと思います。
「自動車整備士養成施設」とは、国土交通大臣の認可を受けた養成施設を指し、施設には2種類あります。
一種養成施設 | 主に自動車の整備作業に関しての実務経験が無い人が対象 |
二種養成施設 | 主に自動車の整備作業に関しての実務経験がある人が対象 |
と言っても、専門学校以外の事を指している訳ではなく、全国に230ヶ所ある整備専門学校、高等学校職業能力開発校の事を指しています。
国土交通省が、自動車整備要員の育成の為の取り組みとして実施していますが、人材不足解消という目的もあって国を挙げて取り組んでいるプロジェクトと言えます。
専門学校のホームページ等で「本校を卒業されますと、受験資格と実技試験免除の特典が与えられます」等と書かれているのをご覧になられた事が有るかと思います。
例えば、高校を卒業して自動車整備工場等に就職して実務経験を積んだ後、二級整備士を受験しようと思うと最低でも4年かかります。
その場合、筆記試験と実務試験の両方を受験しなければいけませんが、専門学校で必要なカリキュラムを修得すれば2年で二級整備士を目指す事が可能になります。
これはその学校が、国土交通省が指定した「自動車整備士養成施設」である事を指しています。
また学校に通って整備士を目指す人にとってこの特典は大きなメリットと言えます。
では、「二種養成施設」はどの様な内容になるのか見てみましょう。先にも起筆しましたが二種養成施設は、主に自動車の整備作業に関しての実務経験がある人が対象になります。
主に自動車整備工場等で実務経験を積んだ人が働きながら夜間や休日等に受講しています。全国に53ヶ所の施設が有り、各都道府県にある自動車整備振興会技術講習所の事を指しています。
大阪の場合は以下が二種養成施設になります。
一種養成施設(学校に通う) | 二種養成施設(働きながら) | |
---|---|---|
施設の違い | 一般施設:整備専門学校、高等学校、職業能力開発校 | 各都道府県自動車整備振興会の自動車整備振興会技術講習所 |
入校資格 修業年限 教育時間 | 3級自動車整備士養成課程 入校資格:中学卒業以上 修業年限:1年以上 教育時間:900時間 2級自動車整備士養成課程 入校資格:高校卒業以上 修業年限:2年以上 教育時間:1,800時間 1級自動車整備士養成課程 入校条件:2級ガソリン自動車整備士または2級ジーゼル自動車整備士のどちらを取得している事 修業年限:3年以上 ※2級ガソリン・2級ジーゼルの両方を取得している場合は2年で可。 教育時間:1,800時間 | 3級自動車整備士養成課程 修業年限:6ヶ月 教育時間:90時間 2級自動車整備士養成課程 修業年限7:6ヶ月 教育時間:90時間 1級自動車整備士養成課程 入校条件:2級ガソリン自動車整備士または2級ジーゼル自動車整備士のどちらを取得している事 修業年限:1年6ヶ月以内 ※2級ガソリン・2級ジーゼルの両方を取得している場合は1年で可。 教育時間:135時間 |
メリット | 所定の養成課程を修了すると、実技試験が免除されると共に受検資格が与えられます | 働きながら受講出来る。 実技試験が免除される。 自動車整備試験を短期間で受験できる 社会人から目指せる。 |
デメリット | 費用(学費)が必要 日中しか通えない(夜間開講している学校もあるが非常に少ない) | 働きながらになる場合は時間の制約が大きくなる。 |
自動車整備士を目指す人にとって「自動車整備士養成施設」はプラスの施策だと言えます。
経済的な理由、人間関係等様々な理由で人は歩みを止めてしまう事がありますが、自動車整備士になろうとする人を国は応援してくれています。
学生時代順風満帆で来た人もそうでない人も、自身でよく考え自分にあったスタイルを見つけて欲しいと思います。
◇職業実践専門課程設置校とは
専門学校がどの様な立ち位置にあり、自動車整備士になるにはどの様な選択肢があるのか、少しご理解頂けたでしょうか?
では専門学校をもう少し深堀出来る事はご存知でしょうか? それが「職業実践専門課程」を文部科学省に認定された設置校です。
職業実践専門課程は、専門学校の職業教育の水準の維持・向上を図り、企業等と密接な連携をとり最新の実務知識などが身に付く様に教育課程を編成し、より実践的な職業教育の質の確保に組織的に取り組むものを文部科学大臣が認定する制度です。 |
2014(平成26)年4月からスタートした制度で、学科の特徴は以下の通りになります。
これに伴い、各学校でもホームページ等で認定校である事を記載すると共に、カリキュラムポリシーやアドミッションポリシー等を掲げています。
気になる学校が有る場合はホームページから、その学校がプロフェッショナルを育む為にどの様な方針を定めているか見てみるのも良いのではないでしょうか。日本全国には自動車整備を学べる専門学校が約80校あります。ホームページを覗いてみたら、そこから大きな扉が開くかも知れませんよ。
◇学費ってどれくらい?
自動車整備士になる為に進路に専門学校を選択するとどれくらい費用がかかるのでしょうか?
「専門学校とは」でも起筆しましたが、進路には2年制~4年制があります。
2年制 | 2級自動車整備士の資格取得を目指す 2年間で約250万円(入学金・教科書代等) |
4年制 | 1級自動車整備士の資格取得を目指す 4年間で約500万円 |
入学金の約200,000円、授業料が前期後期併せて1,100,000円、教科書代と諸費用で100,000円。ざっと書き出しただけでも、初年度で、1,400,000円必要な事がわかります。殆どの学校で2年目以降も同額の授業料がかかりますので、負担額は小さくありません。
進学を考えている人で経済的な面からも熟慮が必要な人は計画的に進める様にしましょう。
◇企業奨学金とは
企業が学費を支援してくれる制度の事です。企業から奨学金の支援を受けると、卒業後はその企業へ就職するのが前提です。企業によって返済方法や貸付金額は異なります。
企業奨学金を実施している企業には、トヨタグループ、日産グループ、スズキ自動車グループ、ケーユーホールディングス、イエローハット等があります。
また、(専門)学校が企業と提携している事も多く、支援してくれる企業には地域性もあります。割合は別にして就職してから返済しなければいけない事が殆どですので、利用を考えている人は一度調べてみましょう。(専門)学校のホームページに奨学金に関しても掲載されています。
◇教育ローン
教育ローンにも様々ありますが、財務省所管の特殊会社である「日本政策金融公庫」と文部科学省所管の「日本学生支援機構」」について起筆致します。
① 日本政策金融公庫 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/ippan.html
金利負担が有りますが、長期返済が可能。
貸付上限金額350万円 世帯年収の条件制限があります。
② 独立行政法人日本学生支援機構(JASSO) https://www.jasso.go.jp/
奨学金には「貸与型」と「給付型」があります。
経済的理由で修学が困難な学生に学資の貸与及び給付を行っています。
下記に起筆致しますが、奨学金返還支援(代理返還)制度を受ける事が出来ます。
進学を支援してくれる奨学金等には、学生(子ども達)の事を考えて手厚いシステムを用意してくれている団体も多くあります。ローンと名の付くシステムも多くありますが、ローンの場合は金利が発生しますので、「借金」になります。将来就職してから返済していかなくてはいけないものですし、金利分の支払いもバカになりません。
進学にあたっては自分でよく調べよく考えて、しっかり計画を立てる様にしましょう。
◇奨学金返還支援(代理返還)制度とは
奨学金返還支援(代理返還)制度とは、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金を受けて学業を修め就職した人に対して。返還金額の一部または全額を企業が本人(従業員)に代わって変換する制度の事です。
企業が福利厚生の一つとして導入することが出来、また税制面での優遇等もある事から、企業にとっても従業員(元学生)にとっても負担が軽減されWin-Winの関係になれる可能性が高い制度です。
日本学生支援機構のホームページに、同制度を導入している社名が掲載されています。
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/kigyoshien/index.html
●安くまたは無料で受講出来る学校がある!
本記事の主題「専門学校」からは少し外れますが、これから整備士を目指す皆さんにとって少しでも選択肢が多い方が良いのでは、との思いから「①職業技術専門校」と「②メカニックカレッジ」について起筆致します。
①職業訓練校
大阪には職業技術専門校が5校あります。大阪府が設置運営している施設で、5校の内自動車整備士について学べるのが「大阪府立南大阪高等職業技術専門校」になります。
https://www.pref.osaka.lg.jp/tc-miosaka/top-page/index.html#school
自動車整備士以外にも、取得可能な資格も有りますので、単に自動車整備士というよりも総合的に対応出来る自動車整備士を目指すカリキュラムになっています。
肝心な費用ですが、教科書代と作業着代、工具代等で約140,000円、資格受験料等で約40,000円になります。小さな金額ではありませんが、専門学校に通うよりダントツ安いですし、設備も整っており、カリキュラムもしっかりしています。またハローワークや企業と連携して就職支援・就職サポートも行ってくれていますので、いざという時の選択肢として頭の片隅にでも留めておいて頂ければと思います。
②特定非営利活動法人メカニックカレッジ
特定非営利活動法人メカニックカレッジ、略してメカニカレは未経験から整備士を目指す人に対して、3か月という短期間で実践的な知識と技術のベースを身に付けさせてくれる訓練学校です。
実技試験の免除等はありませんが、何と言ってもタダ(無料)というのは大きいと思います。何らかの事情で専門学校等に通えなかった人、途中で辞めてしまった人、先に就職したけどエンジンの分解等普段の業務では出来ない事があって理解度が進まない、実務経験を積んで今後の資格取得に役立てない等、何らかの理由がある方は一度ホームページを覗いてみて下さい。
学校が東京のみというのはハードルになりますが、3か月というド短期はもしかしたら、チャンスに変わるかも知れませんよ!
経験や資格と言ったワードが自分自身の中で引っ掛かって前に進めないと感じる事もあるでしょうが、メカニカレ同様弊社も頑張る貴方を応援しています。
ホームぺージ等閲覧するのに大きな費用はかかりません。まずは自分に合った形(学校等)を探してみましょう。
●資格
ここ迄、(専門)学校の特色や費用等を中心にお伝えしてきました。最後に自動車整備士の資格について簡単にまとめたいと思います。
【自動車整備士の初歩】
3級整備士 | 3級ガソリン自動車整備士 | 上級整備士の指示の元、オイル交換やタイヤ交換等基本的な整備を担当します。エンジン部については基本的なっ整備のみで分解整備に携わる事が出来ません。 |
3級ジーゼル自動車整備士 | ||
3級自動車シャシ整備士 | ||
3級二輪自動車整備士 | ||
2級整備士 | 2級ガソリン自動車整備士 | 整備士の8割は取得していると言われています。自動車整備に関する殆どの事を単独でこなす事が出来ます。分解整備作業など仕事の幅は広がります。2級ガソリン自動車整備士を取得すれば、ジーゼルやシャシの整備も出来ます。また自動車検査員を取得する場合には必要な資格です。 |
2級ジーゼル自動車整備士 | ||
2級自動車シャシ整備士 | ||
2級二輪自動車整備士 | ||
1級整備士 | 1級小型自動車整備士 | 2級整備士の仕事内容にプラスして、現場の安全管理や作業指示、他の整備士への作業指示等も行います。1級自動車整備士=1級小型自動車整備士になります。なぜか大型と二輪の試験は今迄実施された事がありません。 1級は「ガソリン・ジーゼル・シャシ」に分かれていない為、1級を取得すれば全てのジャンルを整備出来ます。 |
1級大型自動車整備士 | ||
1級二輪自動車整備士 |
2級自動車整備士になって、3年以上の実務経験を経て受験する事が出来ます。または自動車整備の専門学校の1級整備士養成課程を履修(卒業)していれば受験する事が出来ます。
<学科試験の科目>
1. 構造、機能及び取扱い法
2. 点検、修理、調整及び完成検査の方法
3. 整備用機械に関する初等知識
4. 整備用の試験機、計量器及び工具の構造、機能及び取扱い法
5. 材料及び燃料油脂の性質及び用法
6. 図面に関する一般知識
7. 保安基準その他の自動車の整備に関する法規
<実技試験の科目>
1. 基本工作
2. 点検、分解、組立て、調整及び完成検査
3. 修理
4. 整備用の試験機、計量器及び工具の取扱い
【特殊整備士】
特種整備士 | 自動車タイヤ整備士 | タイヤ及びその附属装置に特化した知識や技術を有した国家資格になりますが、タイヤ交換等は出来る為取得するメリットはあまりありません。2001年以降自動車タイヤ整備士の試験は実施されていません。 |
自動車車体整備士 | フレーム(車枠)や車体等、車の骨格部分に特化した知識・技術を有した国家資格になります。塗装や鈑金が生業の人にはメリットとなる資格です。 | |
自動車電気装置整備士 | バッテリーや電子制御装置等電装部品に特化した資格になります。これからの車は更に電気自動車やハイブリッドカーへの対応が求められますので取得しておくとプラスになります。 |
中学校以上の卒業者で2年以上の実務経験が有れば受験する事が出来ます。または自動車整備の専門学校の特殊整備士養成課程を履修(卒業)していれば卒業と同時に受験資格を得る事が出来ます。専門学校で2級整備養成課程を履修していた場合は、卒業後1年以上の実務経験を経て受験する事が出来ます。
<学科試験の科目>
1. 構造、機能及び取扱法
2. 点検、修理、調整及び完成検査の方法
3. 整備用機械に関する初等知識
4. 整備用の試験機、計量器及び工具の構造、機能及び取扱法
5. 材料の性質及び用法
6. 図面に関する一般知識
7. 保安基準その他の自動車の整備に関する法規
<実技試験の科目>
1. 基本工作
2. 点検、分解、組立、調整及び完成検査
3. 修理
4. 整備用の試験機、計量器及び工具の取扱
●まとめ
自動車の普及率が鈍化したのは1991年にバブルが崩壊し始めた頃からです。日本人の収入は増えなくなり、自然と財布の紐は固くなっていきます。「失われた20年」等とメディア等が取り上げますが、実際に90年代後半から車両価格や維持費が安く済む軽自動車の人気が高まります。
それにプラスして消費を先導してきた若者の消費離れが進みます。「車」「海外旅行」等に対して消費が控えられ、変わってスマホ(インターネット)の急速な普及は若者の消費動向を変えていきます。
車は買うものから借りるものへ「カーシェアリング」はもう珍しいものでは無くなってきました。では車は売れなくてどんどん少なくなっているのでしょうか?免許を取得する人はどんどん減っているのでしょうか?実はそんな事はありません。
社会やライフスタイルは常に変化しています。農地や工場跡地に大型ショッピングモールが出店する様になり、車で郊外のショッピングモールに出掛けるのも珍しい事では無くなりました。コンビニ店舗などの普及や夜遅く迄営業しているお店が増えた事で、夜に外出する割合が高くなりました。
地方に目を向ければ鉄道やバス等の公共の交通機関だけでは生活は不便で、田舎・都市部に限らず車への依存率は高くなっています。
では運転免許の取得率はどうでしょうか?免許保有者数は増加し続けているのが現状です。
そして安全面や環境問題等、車を取り巻く社会は変容しはじめています。上表からもわかる通り高齢者の免許保有率が昭和とは比べ物にならない位伸びているのがわかります。排ガス浄化や二酸化炭素の排出削減目標は自動車の動力はエンジンだという常識を覆す未来がやって来るかも知れません。
環境問題に対する課題も、安全向上に関する性能への期待も、車が私たちの生活に、この社会に必要不可欠だからこそ、国もメーカーも一丸になって取り組んでいます。この大きな問題はメーカーだけでどうにかなるものではありません。もちろん国だけでどうにかなるものでもありません。そしてこの車社会を見えないところで支え維持させているのが自動車整備士という仕事です。
脇役かも知れません。裏方仕事かもしれません。ですが、どんなに知名度が高く有名なメーカーでも、誰もが羨むような高級車でも、整備士がいなければ車社会は成り立たず、その根幹は揺らいでしまうでしょう。
車の技術発展は留まる事がありません。ハイブリッドや電気自動車、もっと言うなら自動運転自動車(AI搭載)や燃料電池自動車等、これからの整備士はこれら高度化した技術に対応出来る事が不可欠になってきます。
車を触るから出来る話があります。車が解るからこその話には説得力があります。そんなメカニックになってみませんか?
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