ハイエース コミューター14人乗りを10人乗りへ 2ナンバーから3ナンバーへの構造変更 定員変更する事で「普通免許証」で運転出来る車になる!

 最近一段と「構造変更」のご依頼を頂く事が多くなりました。アルファード等の1BOX車のご依頼もあるのですが、やはり多いのは「ハイエース コミューター」の構造変更です。

 ハイエース コミューターを構造変更(定員変更で10人乗りに)すると、普通免許証で運転する事が可能になります。今はドライバー不足も大きな社会問題になっていますし、普通免許で運転する事が出来ると運用性もアップしますので、お客様にとって大きなメリットになるな~と思いつつ、門真の整備士は今回も頑張りましたのでまとめます。

 使用目的に合わせて、タイプを選ぶ事が出来るのがハイエースの最大の特徴です。元々ポテンシャルが高い車なので、基本的な改造(足廻り等)を行わなくても、自分仕様に出来る点ではダントツの人気です。200系になって以降、よりハイエースが構造変更の代名詞の様になってきました。

●現車確認

 さて、今回のお客様もやはりハイエース コミューター14人乗り。

 ここでおさらいです。ハイエース コミューター 14人乗りが10人乗りになるという事は・・・。

①普通免許で運転出来る(コミューターは中型免許8t限定解除または大型免許が必要)
②荷室が広がる
③2ナンバーから3ナンバーにナンバープレートの分類番号が変わる

等の点が変わってきます。普通免許で運転出来る点はやはり大きいのではないでしょうか。中型免許の取得条件は、普通免許を保有してから通算2年以上経たなければ免許を取得する事が出来ません。ドライバーの確保はやはり普通免許の方がスムーズですね。

 弊社が門真市なので、大阪で中型免許を取得しようとすると、

大阪府下に現住所があり、満20歳以上かつ、普通自動車運免許又は準中型自動車免許、大型特殊自動車免許を取得後、2年以上経過した者。
中型自動車免許とは、中型自動車(乗車定員11人以上29人未満、車両総重量7.5t以上11t未満、最大積載量4.5t以上6.5t未満)を運転出来る様になる免許です。
それまでは普通自動車免許と大型自動車免許でしたが、2007年の免許制度改正によって登場した免許区分になります。2007年以前に取得した普通自動車免許については、中型自動車免許(8t限定)となります。AT限定免許はありませんが、8t限定免許については、元々取得していた普通自動車免許の条件に基づき、AT限定の条件が適用されます。
現在、4tトラックを運転する為には、こちらの中型自動車免許が必要になります。かつての普通自動車免許で、運転出来た範囲の自動車を細分化して、中型自動車免許を新設する事により、普段運転しない方が、いきなり4tトラック等の貨物自動車を運転し、事故を起こす割合を低下させる目的で新設されました。

 上記の様な条件が必要になります。

 ここで、所有している運転免許証でどんな車が運転出来るのか、その条件を諸元表や受験資格等をベースにまとめてみたいと思います。

●プランニングと改造

さて、実際の作業ですが、やはり一番大きく変化する箇所、それが後部座席です。

 後ろまで座席がぎっちぎちに並んでいます。荷物等を載せられる感じが全くしません。内装はグランドキャビンと大きく変わらないので、車内を見た時の印象の違いは歴然です。圧迫感が否めません。コミューターで荷物を載せようと思うと、最後列の座席を倒して使用する事になります。 ところが、この部分を取り外してみると…。

 全く印象が変わります。最後部の座席を1列(4席)取り外したことで、荷室(スペース)が確保され、荷物もかなり積み込む事が可能になりました。もちろん!門真の整備士により作業は難なく終了!今回は車内の作業にプラスして、デカール剥がしの作業もありました。

 毎回お伝えしておりますが、ハイエース コミューター14人乗りが10人乗りになるという事は、乗合から乗用に用途変更する事になります。乗用の基準を満たす必要がありますので、今度はここで乗用自動車の安全基準の内容についてのおさらいです。

乗用自動車の安全基準の内容】
①排ガス測定の技術基準 「保安基準第31条」
②衝撃吸収式舵取り装置の技術基準 「保安基準第11条第2項」
③施錠装置の技術基準 「保安基準第11条の2第2項関係」
④乗用車の制動装置の技術基準 「保安基準第12条第2項関係」
⑤アンチロックブレーキシステムの技術基準「保安基準第12条第1項」
⑥衝突時における燃料漏れ防止の技術基準 「保安基準第15条関係」
⑦前面衝突の乗員保護の技術基準 「保安基準第18条第2項関係」
⑧側面衝突時の乗員保護の技術基準 「保安基準第18条第3項関係」
⑨内装材料の難燃性の技術基準 「保安基準第20条第4項関係」
⑩インストルメントパネルの衝撃吸収の技術基準 「保安基準第20条第5項関係」
⑪座席及び座席取付け装置の技術基準 「保安基準第20条第6項関係」
⑫シートバック後面の衝撃吸収の技術基準 「保安基準第22条第7項関係」
⑬頭部後傾抑止装置の技術基準 「保安基準第22条第4項関係」
⑭座席ベルト取付け装置の技術基準 「保安基準第22条の3第2項関係」
⑮運転者席の座席ベルトの非装着時警報装置の技術基準 「保安基準第22条の3第4項関係」
⑯外装の技術基準等 「保安基準第18条第1項第3号関係」

 主に、シートやシートベルト、エアバッグ等が乗用車の基準を満たしているかが要点になります。例えば、コミューターの場合、座席2列目以降は2点式シートベルトになります。

これが10人乗りになるという事は
乗用車使用になる
全席3点式のシーとベルトが必ず必要

という事になります。故に強度試験書類等の適合書類が必要になります。

 今回のお車は、シートベルト(&シートベルトリマンダー)も助手席のエアバッグもオプションとして取り付けられているので問題無しですが、もし2点式のシートベルトだった場合は、取付け穴等の作業も必要になります。

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●申請書類作成と書類審査

 そして一番手間がかかるのが、構造変更の手続きに必要な書類の準備です。令和元年10月1日から「用途等の変更をする使用過程車等の事前書類審査」がスタートしました。

新規検査、予備検査又は構造等変更検査を受検する自動車のうち、用途・乗車定員・車両総重量・自動車の種別を変更することにより適用される基準が変わるものについては、当該基準への適合性審査を適正かつ効率的に実施し現車審査時間の短縮が図れるよう、新規検査等に先立って、当該自動車の構造・装置の変更内容などを記載した新規検査等届出書を提出いただき、受理した届出書の事前書面審査が受検日の前日までに終了したものに限り現車審査を実施することになりました。

独立行政法人 自動車技術総合機構 HPより

https://www.naltec.go.jp/topics/fkoifn0000007udt-att/fkoifn0000008oph.pdf

 事前に膨大な書類を準備して提出します。上表にも記載されていますが、「提出書類に不備があった場合、審査が出来ませんのでご注意願います。」とあります。

 門真の整備士!今回痛かったのは、「荷重計算書必要ですよぉ~」と言われてしまいました!

 気を取り直して、改めて必要書類を再確認して提出致しました。2回目はしっかり受け付けて頂きました。ではここで必要書類についてのおさらいです。

【必用な書類】
・新規検査等届出書(第1号様式) 
 ・自動車検査証 
 ・自動車損害賠償責任保険(共済)証明書
 ・点検整備記録簿
 ・自動車検査票
 ・自動車税納税証明書
  ※登録自動車は原則不要。
  ※地方税のシステムに反映されるまで相応の日数を要する場合があり、確認できない場合は、従来通
   り証明書の提示が必要になります。
 ・自動車重量税納付書
  ※重量税印紙を貼付、キャッシュレス決済の場合は不要。
 ・使用者の委任状(認印押印)
  - 委任事項(自動車検査証記入・構造等変更検査)
 ・所有者の委任状
  - 構造等変更検査に伴い、型式、車台番号又は原動機の型式を変更する場合
  -  委任事項(変更登録)
 ・手数料納付書
  ※自動車検査登録印紙を貼付、キャッシュレスの場合はその旨記載。
 ・申請書(2号様式)
等など。上記にプラスして強度証明書や諸元表等を貼付しなければいけません。

 事前提出書類審査の流れは以下の通りです。

 ①事前提出書類審査届け出

   ↓

 ②受付してもらい、届出書のチェック及び、受付印を押印してもらう。

   ↓

 ③書類審査

   ↓

 ④決済及び届出者に終了の連絡

   ↓

 ⑤現車審査を実施

 書類審査決裁終了の連絡がありましたので、実車検査に向かいます。これもいつも申し上げている事ですが、通知書が届く迄に1週間~10日程度かかります。お客様とお打合せしている時も「出来るだけ早く」というお言葉を頂戴する事があります。お気持ちは凄く理解出来ますし、門真の整備士も早くお客様にお渡しして喜んで頂きたいのですが、どうしても物理的に時間がかかる部分がございます。その為、余裕を持ってしっかりと計画を立てた上で取り組む事が大切です。

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●現車審査

 さて、現車審査ですが、こちらはバッチリ!合格です。重量税納付・変更登録申請・旧ナンバープレートを返却致しました。その後、新しい3ナンバーのナンバープレートを装着して標章ステッカーを貼り換え、任意保険の契約先に新しいナンバーを連絡して、ETCのセットアップが終わったら全て完了です。

 これで、ついさっき迄中型免許以上が必要だったのに!この瞬間から普通免許で運転する事が可能な車になりました。

●まとめ

 構造変更には、膨大な作業と時間(労力)を要します。そして何より乗員の命を守る為にミスの無い確実な作業を実施する必要があります。弊社はこれ迄に多くの構造変更を手掛けて参りました。  お客様のご希望やご意向を、実現する為にお客様のお話しに耳を傾け、確固とした業務に取り組みたいと思っております。構造変更をお考えのお客様はどうぞお気軽に弊社にご相談ください。

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