【ハイエース】PCS警告灯点灯!GDH201Vの修理!門真の整備士がエンジン警告灯から故障の真意を導き出す!
TOYOTA ハイエース 「PCS警告灯」の点灯
今回お客様からお預かりしたお車は「TOYOTA ハイエース」。燃費、安全性、耐久性、信頼性そして十分なスペースとどれをとっても最高の車であり、日本を代表する車種と言って過言ではありません。
今回のお客様はお仕事でハイエースを使用されているとの事でしたので、ビジネスパートナーとして日々欠かす事が出来ない存在です。出来るだけ早く対応すべく門真の整備士が奮闘致しました!
●お預かりしたお車
メーカー・ブランド | TOYOTA ハイエース |
型式 | QDF-GDH201V |
年式・初年度登録 | 2019年 |
走行距離 | 92177㎞ |
●故障の症状
エンジン警告灯(PCS=プリクラッシュセーフティの解除)が点灯したが、走行中に消灯した。
●故障箇所の特定と診断
PCS(プリクラッシュセーフティ)は、単眼カメラとミリ波レーダーの両方で、前方の車両や歩行者、自転車等との衝突を回避するシステムです。警報ブザーとマルチインフォメーションディスプレイ表示で衝突の危険性(可能性)を知らせてくれます。
ブレーキが踏めた場合 | プリクラッシュブレーキアシスト |
ブレーキが踏めなかった場合 | プリクラッシュブレーキを作動させ、衝突回避又は被害軽減をサポートする。 |
PCS警告灯が点灯または点滅する、またはマルチインフォメーションディスプレイに警告メッセージが表示される場合に、考えられる原因は、
①前方センサーの周辺に汚れが付着しているか、曇りや結露等がある
②炎天下や極寒等、極端な温度環境により、前方センサーの周辺の温度が作動条件下になった
③ボンネットが開いている、フロントウィンドウガラスの前方カメラ前部にステッカー等が貼り付けられている時等、前方センサーが遮られている場合
等が挙げられますが、お車を拝見すればこれら外的要因で無い事は明らかです。
では、一体どの様な原因が隠れているのでしょうか?
お車をお預かりして、まずは現象の確認をします。が、今回入庫してから一度も警告灯が点灯しなかった為、スキャンツール(外部診断機)で診断してみました。
診断結果は「ソレノイドバルブの異常」。ソレノイドバルブを訳すと「電磁弁」になります。
ソレノイドバルブは、バルブボディに組付けられています。ECUからの電気信号を受けると内部の電磁コイルで鉄心を作動させて、バルブボディ内の油圧回路の油の流れを切り替えますが、この時油圧制御を担うのがソレノイドバルブです。
上の写真は、お車を下から見ています。赤く丸をしているところにソレノイドバルブ(バルブボディ)があるのですが、ATFオイルバンの中にあるので厄介です。ここからバルブボディを取り出してしまえば、ソレイドバルブ単体を外すのは簡単な作業ですが、何と言ってもオイルバンの中にあるものですから、オイルを一旦抜かなければいけません。
ソレノイドバルブが不調になると、スムーズなシフトアップ、シフトダウンに支障が出る、シフトショックが大きくなる等の症状が出ます。また速度とアクセル開度に対して適切なギアが選択出来ず、ギクシャクすると言った症状も現れます。
ソレノイドバルブが故障する原因は様々ありますが、コイルの経年劣化やコイル自体の温度上昇や過電圧による故障。他にもソレノイドバルブ内部にあるスプールという軸のパッキンの摩耗、異物がバルブ内部に嚙みこんでしまった場合もソレノイドバルブの故障が起きます。
故障箇所の特定と診断 【診断結果】 スキャンツール(外部診断機)による診断 「ソレノイドバルブの異常」と判明 |
●故障修理の内容と費用
ではどのソレノイドバルブが故障したのか・・・
それはもう、本当に、難しく・・・
お客様からすれば「1本1本脱着して確認すればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、車の底のオイルバンの中で、オイルまみれになっているバルブボディから一回一回取り外し→動作確認して→取り付けて…を繰り返すのは、作業賃ばかりが嵩む事になりますので、お客様にご説明の上全取替になります。
作業内容 | 工賃 | 部品代 |
故障診断料 | 12000 | |
交換工賃 | 20000 | |
部品代 | ソレノイド | 60800 |
合計 | 32000 | 60800 |
消費税 | 3200 | 6080 |
総計 | 102080 |
2023年10月現在
●修理後の様子
修理(部品交換)してから、再度診断したところ、ソレノイドバルブの異常を知らせるエラーコードは表示されませんでした。室内の警告灯が点灯する事もありませんでした。
今回はお客様が、お車を仕事で使用されているという事でしたので、修理内容についてご説明の上、時間最優先での作業となりました。納車後は異常も無く快適にバディ(相棒)に復活されたとの事。頑張った甲斐がありました!
●まとめ
警告灯が点灯・点滅するとドライバーはドキッとします。警告灯自体は世界基準で規格化されていますが、時には警告灯ではどこに異常(故障)があって点灯しているのかよくわからない場合もあります。その様な時は、大事に至る前に弊社にご相談ください。
緑色 | 安全のサインです。 |
黄色またはオレンジ | すぐに運転を中止しなければならない、または援護を要請する様な状態ではありませんが、何らかの異常がある事を知らせていますので、走行を控え出来るだけ早く対処しましょう。 |
赤色 | 赤色は重大な故障や緊急性の高いトラブルが発生している事を示していますので、速やかに停車し、ロードサービスや普段交流のある整備事業者等に援護の要請(修理・点検等)をして下さい。 |
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