【日産セレナ C27系】MR20エンジン修理「エンジンオイルは車の血液」門真の整備士が警告灯点灯の原因究明!
お客様から「エンジン警告灯が点灯する」とのご連絡を頂きました。お車は「日産 セレナ C27系」。お車をお預かりして拝見したところ、エンジンオイルがドッロドロでした。白濁は無かったので冷却水(ラジエーター液)は混ざっていないと判断しました。
新しいエンジンオイルに交換しましたが、エンジン警告灯は点灯したまま、オイルもすぐにドロドロになり、かなりひどい状況です。
オイル交換の目安は、メーカー・車種によって異なりますが、ガソリン車で凡そ15、000㎞または1年を目安に交換する事が推奨されています。が、今回のお車はエンジンオイルの交換をされていなかった為、エンジン内部にスラッジ(沈殿物、燃えカス)が溜まり、センサー類の動作不良を起こしたものと診断されました。走行中に事故やエンストが起きなくて本当に良かったと言わざるを得ません。
【診断まとめ】 ・エンジンオイルを交換していなかった為、エンジン内部にスラッジ(沈殿物・燃えカス)が溜まり、センサー類の動作不良を起こした。 ・カム角度センサー(カムシャフトポジションセンサー)の異常をテスターにて検知。 ・VTCアクチュエーターの動作不良 |
近年の車には、電子制御システム(ECU)が搭載され、あらゆるものをセンサーで監視しています。エンジンのみならず、電装品もブレーキもミッションもそれぞれにECUがあり、通信しあって車を快適に、そして安全に保っています。
ECUは自己診断機能がありますので、異常があれば「エンジン警告灯」でドライバーに異常を知らせます。例えばエンジンオイルランプが点灯するという事は、エンジンオイルの減少や圧力センサーの故障等で油圧が低下したと推測されます。エンジンオイルは目に見えませんが、エンジン内部の潤滑油であり、また摩耗部分の保護をしたり、エンジン自体を冷却するという重要な役割を担っています。量・質共に正常なエンジンオイルが保たれていないとエンジン内部を循環しなくなり、エンジンが機能しなくなります。エンジンオイルをちゃんとメンテナンスする事で、オイルの中に混じったスラッジ(沈殿物、燃えカス)を取り除き、結果としてエンジン内部を綺麗に保つことが出来ます。
カム角度センサーが不調という事は、エンジンの点火のタイミングが合わない等、様々な不調が生じます。今回の診断結果は車にとってはかなりの重傷で、かなり手間がかかる事になります。 まずはエンジンを降ろさなければなりません。
エンジンを降ろしてから車の底から見上げると、ぽっかり向こう側が見えています。エンジンが乗っていたであろう向こう側にはラジエターが見えていますねぇ~。
車から降ろしたエンジンはこちらです。
日産 セレナ C27のエンジンは「MR20DD」
1997cc、直列4気筒DOHC16バルブ 直噴 可変バルブタイミング(ツインCVTC)。
サイズは内径が84.0m/m行程が90.1m/m 最高出力/最大トルクは147PS(108kW) /5,600rpm 21.4kg·m(210N·m) /4,400rpm
エンジンを降ろした部分だけ写真で見て頂くと、何とも簡単に降ろしている様に見えますが、まずはフロアカーペットを外すところからスタートしています。(画像無くてスミマセン)ECUの解除やエンジン廻りの部品(エアクリーナーボックスやバッテリーなど)等、手順を踏んで作業し、エンジンに繋がっている電気配線の束やラジエターホース等を外します。次に足回り部品やプシャフト類を外し、フロントサスペンションメンバーを降ろします。そして最後にエンジンを降ろします。
診断でも起筆しましたが、今回の症状の原因は「エンジンオイルの交換をしていなかった」という事ですので、エンジンオイルを交換しないとどんな感じになるのか、見て頂きたいと思います。
こちらエンジンヘッドです。昔は琥珀色のオイルだったものが、ヘドロ状になってゴッテリへばりついています。右の写真はエンジンヘッドを掃除して綺麗にしたものです。
オイルパン内部やVTCアクチュエーター回りももこの様な状態です。
下の写真枠右下のアクチュエーターを見て頂くと使用前・使用後が一目瞭然です。エキゾーストカムシャフトタイミングギアには“突起”があるのですが、スラッジ等で摩耗され見る影もありません。(下の写真の枠内右下)
【修理内容】 ・上記の写真でもお解り頂けるかと思いますが、修理内容としては、まずはエンジン内部やオイルギャラリーの掃除 ・タイミングチェーン、ロッカーカバン脱着、オイルパン脱着、 ・VTCアクチュエーターの交換、カムプーリーの交換、バルブタイミングコントロールモジュールの交換、カムシールの交換、コネクターの交換 |
今回は、かなり大掛かりな修理となりました。エンジン内部の掃除と部品交換を終わらせ、今度はエンジンを積んでいく作業になります。
エンジンを積んだ後、ここからがまた一苦労です。エアコン等の配管・ホース・CVコントロールケーブル・アースケーブル等を順次取り付けていきます。
ロアアーム・スプラッシュガード等の足廻りの取り付けの後、左右のタイヤを取り付け、アースケーブルを繋いだら、ちょっと先が見えてきました。
オルタネーター・エンジンハーネス・バッテリー・サブバッテリー等の取り付け、最後に冷却水のエア抜きや真空引きをして、エアコンガスを入れてやっと最終です。
エンジンの警告灯が点灯しないか最終チェックを行い、修理は完了です。
結果】 ・エンジン警告灯の点灯は無くなった。 ・加速、減速共に快調になり、エンジンオイルも綺麗に保たれる様になりました。 |
エンジンオイルは、人間で言うと血液の様なものです。体中(車中)を駆け巡っています。人間の血液も動脈と静脈で色が違うように、エンジンオイルも最初はサラサラとして綺麗な琥珀色をしています。それが使用し続けている間に、茶色くなり、黒くドロドロになっていきます。
こうなると、燃費が悪くなったり、エンジン内部の部品の摩耗が進行したりします。エンジンオイルを変えずにいて良い事は何一つありません。エンジンオイルの交換という一手間を惜しんだだけで、車(エンジン)は痛み、寿命が短くなってしまいます。最悪走行中にトラブルを起こす事もあり得ます。エンジンオイルは少なくなっても、黒くなっても、車を動かそうと頑張っています。エンジン警告灯が点灯する前にどうかエンジンオイルの重要性を再認識して頂ければ幸いです。
「今現在ちょっと車の事が気になっている」という方や、「メンテナンスを考えてみよう」と思われる方は是非弊社までご連絡ください。まずはお客様自身のお車の状態をお知り頂く事からスタートするのはいかがでしょうか⁉
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