【ハイエースワゴン 構造変更】キャンピングカーへの構造変更 (スーパーロング・ハイルーフ)(その①)
さて、今回はあるお客様のお車の構造変更についての記事を書いていきますね。
トヨタから販売されているハイエースのキャンピングカーが欲しいけれど…
予想していた以上に高くて予算オーバー。
知り合いに相談したところ、自分好みの仕様のキャンピングカーが欲しいのなら、自分で作ってしまった方が安上がりで希望通りのキャンピングカーを作り上げられるじゃないか? というアドバイスを受け、
トヨタのハイエースワゴン(スーパーロング・ハイルーフ)を購入して、好みの仕様に沿って作り始めよう
と、門真市にある東伸自動車にまずご相談に来られたという経緯です。
お客様は現在ご自身のペースで楽しくキャンピングカーを作成されています。
われわれもどんなキャンピングカーが出来上がるのか期待に胸を膨らませています。
まずは新車登録手続きについて、途中で起こったハプニングも交えてお話していきましょう。
他にも構造変更の記事があるよ。『構造変更』に興味のある方は是非読んでケロ。
● 門真の整備士が語る「構造変更」『新車のハイエースの5人乗りモデル(スーパーGL)を6人乗りに新車から構造変更』
● 門真の整備士が語る ハイエースの構造変更 ローダウン・オーバーフェンダー編
● 8ナンバーとはどんな車なの?8ナンバー登録手続きや構造変更について解説
新車ハイエースワゴン購入
まずキャンピングカーのベースとなる『ハイエースワゴン スーパーロング、ハイルーフ』を購入。
この時点で陸運局(門真市は大阪運輸支局)に経緯を説明し、これからどういう手順で進めていけば良いのかを相談しました。
ちなみに、構造変更の相談をしたい場合、大阪運輸支局の2階にある自動車検査独立行政法人には構造変更に詳しい方が数名いらっしゃいます。
日中は検査場で検査を行っていて事務所に不在のことが多いので、検査が終わる17時以降を狙うか、事前に電話で相談したい旨を伝えておき、アポイントメントを取っていくと良いですよ!
購入した車両は3ナンバー仕様ですが、このまま新車登録すると車検期間が3年となってしまいます。
お客様はハイエースワゴンをキャンピングカーへ構造変更しますので、いずれは8ナンバー登録します。
しかし、8ナンバー登録するには現状全く構造要件を満たしていません。
じっくりゆっくり丁寧に構造変更したとしても、おそらく3年はかからないでしょう。
3ナンバーの車検費用が非常に勿体ない…
そこで、3ナンバーよりも車検費用が安くなる1ナンバーでひとまず新車登録し、乗車できる状態でゆっくり構造変更を行っていただくことになりました。
3ナンバーから1ナンバーへの構造変更
大阪運輸支局に相談した結果を受け、1ナンバー登録後、お客様にお引き渡し後すぐにでもキャンピングカーへの構造変更が行える状態にするため、ハイエースワゴンの後部座席を以下のように構造変更することにしました。
・後部座席を外して2人乗りに変更 ・荷台パネル床張り ・後部座席の壁を外し、木の板を張り付け →壁を外したままだと配線がむき出しで新車登録の検査でアウト |
一旦お客様へ引き渡し
1ナンバー登録の手続きを行うため書類などの準備をしていたところ、お客様から電話がかかってきました。
「変更した後部座席の現状のサイズ感などが知りたい!」
とのことで、一旦、お客様のもとへ、ハイエースワゴンをお引き渡しすることに。
この時点ではまだナンバープレートがついていませんので、当社積載車にてお客様のお宅へ搬送。
お客様から引き取りの連絡を受けて出向くと驚愕の事実が!
お客様からサイズ感の確認も出来たので、引き取りに来てほしいとのご連絡があり、早速お客様のお宅へ向かいました。
そこには驚くべき光景が待ち受けていました。
お客様とハイエースワゴンを見ながら今後の構造変更の話をしていて、何気なく運転席に目をやると…
なんと!
新たにフローティングナビが取り付けてあるではないですか!(笑)
フローティングナビは、もしかすると新車登録でアウトかもしれない…
塗装も始めてる様子。
なんとなく嫌な予感がして、後部座席をおそるおそる確認してみると、床材パネルの隙間に違和感が…
何か見えているよなぁ。
ほかにも何か手を加えたところがないかお客様に確認すると…
床材パネルの下に断熱材が敷き詰められているではないですか!(笑)
えええええ!!!
しかも接着剤で糊付けしていて容易には外せそうにない…
そこでとどめの一言。
天井もカバーを外して断熱材を入れちゃってるよー
驚きを隠せないまま、お客様のお宅を後にし、東伸自動車へ向かいました。
戻ってコーヒーでも飲みながらひとまず落ち着こう…
大阪運輸支局に相談
1人で考えていてもらちが明かない。
こんな時は、大阪運輸支局の構造変更に詳しい〇〇さんに助けてもらおう!
現在の状態を写真におさめ、大阪運輸支局に相談したところ、下記のアドバイスを頂けました。
・フローティングナビは、車検の時に外しておけば良い! ・天井の断熱材はカバーをかぶせていたら問題ナシ! ・後部座席の断熱材は、難燃証明書を車検時に提出すれば良い! |
助かりました!
お忙しい中、親身に相談に乗って下さり本当にありがとうございます!!
なんとお礼を申し上げればよいものか…
感謝の気持ちでいっぱいで、大阪運輸支局の〇〇さんには足を向けて眠れません!
1ナンバー登録に必要な書類を準備
1ナンバー登録に必要な書類の準備が終わりました。
●申請書(OCR第1号様式)
●手数料納付書
●完成検査終了証(メーカーが作成している書類)
●再資源化等預託金(リサイクル料金)の預託がされていること
●自動車損害賠償責任保険証明書
●自動車検査票
●譲渡証明書
●自動車重量税納付書(重量税印紙を添付)
※所有者と使用者が異なるので以下も準備
・所有者の印鑑証明書
・所有者の印鑑
●所有者の委任状
●使用者の住所を証する書面
- 印鑑証明書
- 住民票の写し(マイナンバーが記載されていないもの)
- サイン証明書(指名及び住所が記載された大使館もしくは領事館または官公署が発行したもの)
のうちいずれか1点
●使用者の委任状
●使用者の自動車保管場所証明書
●難燃証明書
今回はこの難燃証明書を提出することで構造変更の問題点がクリア出来ました。
構造変更の内容によって追加で提出する資料は異なります。
国土交通省「新車・中古車でナンバーのついていない車を登録する場合(新車登録)」を参照
1ナンバー登録手続きへ!
自動車検査インターネット予約システムを利用して、実車検査の予約済み。
さあ、書類を持っていざ陸運局(大阪運輸支局)へ。
構造変更検査の実車検査についての詳細はこちらを参照
陸運協会の整備振興会で、登録・検査用印紙を購入して、手数料納付書に貼り付け。
重量税を整備振興会で納付し、重量税納付書に印紙を貼り付け。
書類すべてを持って運輸支局庁舎の窓口へ。
書類の内容を確認して頂き、書類はOK!
予約の確認が取れたので、書類をすべて受け取って検査コース⑧へ。
車体の全長、全幅、全高、いずれも変更していないので、チェックOK!
木の板を貼ったり断熱材を入れたりしていますが、さほど重量に変更はなかったのでOK!
断熱材にシールを貼っていたけど問題ナシ!
内装の塗装も問題ナシ!
順調、順調っと。
仕切り棒が無いですねー。不適合です!
整備した後、再入場お願いします!
・・・(思考停止中)・・・
本日16:00までなら再入場できますので!!
・・・出直します・・・ありがとうございます・・・
仕切り棒がない…ですと?
失念しておりました…
純正品を購入するには時間がかかりすぎるし、いずれは8ナンバー登録するわけだから…
一時しのぎでなんとか1ナンバー登録をクリア出来る方法はないものか…
うーん、どうしようか…
ハイエース、1ナンバー、貨物車としての登録となりますので、 乗車人員と荷物を仕切るバー形状の仕切り棒が必要となります。 急ブレーキを踏んだり、車両が衝突した際に、荷物が乗車席になだれ込むことを防ぎ、乗車人員の怪我などを防ぐために必ず設置しなければなりません。 |
こんなこともあろうかと、いつも午前中に予約を取っている私。
まだ時間はある。
焦ることはない!
当日の審査時間内であれば、不適合となった箇所を2回まで審査してもらえるんです。
仕切り棒がないので、不適合でした。
たしか標準サイズの仕切り棒なら自社にあったはず。
おそらく長さが足りないだろうけど、試してみたら?
戻って確認します!
東伸自動車へ戻って確認。あった、あった!
さあ、取り付けてみよう! ガコガコ…
やっぱり、そうですよねー。
ボディ幅が標準の仕切り棒じゃ、お客様のワイドの車には長さが足りないですよねー。
社長も長さが足りないって言ってたし、わかってはいたんですよ…はい。
うーん、壁を近づけようか?
いやー、今日中に再入場しておきたいし、そこまでの時間はないよなぁ…
うーん…、仕切り棒自作しますかー!
ホームセンターでパイプを2本買いに行って、ボルトでネジ止めして固定。
出来た!やれば出来る!
※ ちなみに、物干し竿では強度が弱いので車検アウトです。
※ 強度が弱いと乗車人員の怪我を防ぐことは出来ないので当然です。
仕切り棒、自作して固定出来たので、再入場行ってきます!
時間ギリギリやし、頑張って!いってらっしゃい!
再入場して新規検査
急いで、検査場に再入場。
なんとか間に合った!
→再入場なら、直接検査場へ行って大丈夫です。
・・・(仕切り棒をチェック中)・・・
はい、問題ないです。合格です!
良かったー!ありがとうございます!
自動車検査票に適合のサインをもらって、書類を全て持って、次は新車登録に必要な新規検査を受けます。
検査コース④へ。
走行に問題がないかなど、下記の内容をチェックしてもらいます。
新車登録時の新規検査も、継続検査も、確認事項はほぼ同じです。
新規登録はわれわれのような業者で行うことがほとんどですが、継続検査も同じ流れとなりますので、初めての方もご心配なく。
初めて受検する旨を検査官にお伝えしておけばスムーズに進みます。
検査官が「ボンネット開けてー」など、何をすれば良いのか都度指示して下さいますので、指示に従えば大丈夫です。
とはいえ、初めてのことだと不安ですよね。緊張しますよね。
何年も通い続けている今でも無事に検査合格するかドキドキしてしまうものです。
しかし頻繁に見ることの出来る作業ではありませんので、ワクワクしながら検査を受けて頂ければと思います。
検査場や車の仕様によって、検査機器や検査の順番など異なる部分もあるかと思いますので、詳しくは実際に受検する陸運局のサイトでご確認ください。
【第①ブロック】 |
●同一性の確認 (自動車検査証と車両が同一であるか確認) ・車台番号 ・原動機形式 ・番号標板 ・種別 ・用途 ・車体の形状 ●外観検査 ・車わく ・車体 ・保安装置 ・走行装置 ・乗車装置 ・灯火器類 ・原動機 ・電気装置 ・操縦装置 |
(検査コースの流れ) |
検査官にすべての書類を渡します。 指示に従い、ボンネットを開けます。 エンジンルーム内の検査が行われます。 →エンジンルームの検査では、エンジンを停止させることをお忘れなく。 続けて外観検査です。 検査用ハンマーや目視で、上記の項目を確認します。 検査官から「ライトをハイビームにしてー」「右のウインカー点けてー」など 順に指示がありますので、検査官の指示が聞こえるように窓を開けておくとよいです。 指示がない時は何も作動させないようにしてくださいね。 運転者席および助手席の側面ガラスの検査の際は、窓を閉じることをお忘れなく。 同一性の確認および外観検査に問題がなければ、検査合格です。 自動車検査票に合格印を押印してもらえます。 |
【第②ブロック】 |
A.サイドスリップ検査:かじ取車輪整列 B.ブレーキ検査 :制動力測定 S.スピードメータ検査:速度計誤差 H.ヘッドライト検査 :照射光度、向き |
(検査コースの流れ) |
最初にサイドスリップ検査を受けます。 進入表示器が「待機」から「進入」に表示が変わったら、ハンドルを切らずにゆっくりとタイヤを検査ラインに合わせてテスタに乗り入れます。 前方の指示に従い所定の位置で停車させます。 ※フラットロー車、4WS車の場合、車種選択ボタンの該当する申告ボタンを押してから侵入します。 直進時の前輪タイヤの横滑り量を測定します。 検査を終えたら、前方の表示板に従い、ゆっくり前進し、次はブレーキ検査です。 タイヤ4輪をテスタのローラに載せて、エンジンを切らずにギアをニュートラルかPレンジに入れます。 前方の表示器に従い、主ブレーキ、駐車ブレーキの順にブレーキを踏み、制動能力を検査します。 ブレーキ検査を終えたら、その場でスピードメータ検査を受けます。 前方の表示器の指示に従い、ハンドルはまっすぐしっかり握った状態でギアを入れます。 ※ハンドルから手を離すと車両がテスタから飛び出して非常に危険です。 ※大きな事故に繋がりますので、ハンドルをしっかり握ってください。 アクセルを踏んで、ゆっくりスピードを上げていき、速度計が40km/hを指したらパッシングをします。 合否判定が出たら、ブレーキを踏んでタイヤを停止させ、ギアをニュートラルかPレンジにし、駐車ブレーキを引きます。 続けて、その場でヘッドライト検査を受けます。 前方の表示器に従い、ライトを点灯させます。 照射光度と光軸の向きが基準を満たしているか検査します。 判定が表示されたら、前方の表示器に従い、車をゆっくり進めて所定の位置で停車させます。 ギアをニュートラルかPレンジにし、駐車ブレーキを引きます。 これで第②ブロックの検査終了です。 記録器がありますので、自動車検査票を挿入し、検査結果を記録します。 |
【第③ブロック】 |
X.排気ガス検査 :一酸化炭素、炭化水素濃度の測定 ※ディーゼル車は排気ガス検査を行いません。 |
(検査コースの流れ) |
エンジンをかけたまま、ギアをニュートラルかPレンジにし、駐車ブレーキを引きます。 前方の表示器および検査官の指示に従い、排出ガス検査機器に繋がっているプローブと呼ばれる検査センサーを排気管に60㎝以上差し込みます。 検査中は所定の位置で待機し、表示器に結果が表示されたら、プローブを元の位置に戻します。 記録器に自動車検査票を挿入し検査結果を記録したら、前方の表示器に従い、ゆっくり前進します。 |
【第④ブロック】 |
P.下回り検査(ピット方式) ・かじ取装置 ・緩衝装置 ・制動装置 ・原動機 ・動力伝達装置 ・車わく・車体 ・排出ガス発散防止装置 ・燃料装置 ・電気装置 ・走行装置 検査官によって、自動車の下回りを検査用ハンマー等による打音・目視等で隅々まで検査します。 |
(検査コースの流れ) |
ゆっくりと前進し、所定の位置に停車します。 ギアをニュートラルかPレンジにします。このとき、駐車ブレーキは引きません。 検査官が前後・左右にタイヤを揺すります。 表示器か検査官の指示に従い、ブレーキ操作やハンドル操作などを行ってください。 結果が出たら、前進し、所定の位置に停車させます。 エンジンを停止し、駐車ブレーキをひきます。 これで新規検査はすべて終了です。 次は合否判定です。 |
【第⑤ブロック】 |
総合判定 |
(検査コースの流れ) |
総合判定室の検査官に全ての書類を提出し、合否判定を受けます。 ※不合格の場合は「再検査」を受けます。 合格でしたので、自動車検査票の右下の「審査結果通知欄」に合格の押印を頂きました! |
【第⑥ブロック】 |
その他の検査機器 ・近接排気騒音検査 ・黒煙検査 ・最大安定傾斜角度検査 ・寸法検査(車高) 必要に応じて、上記の項目を検査します。 |
(検査コースの流れ) |
今回はこのブロックでの検査は受けていませんので、今後、受検した際に記事にします。 |
新規検査は難なくクリア。
無事に検査合格です!
新車登録申請のため、運輸支局の窓口にて、すべての書類を提出。
車検証と検査標章(ステッカー)が交付されるまで時間がかかります。
混んでいるときは、1時間かかる場合もあります。
車検証と検査標章を受け取ったら、自動車税事務所にて自動車税と自動車税環境性能割を納入。
標板返納・交付の窓口にて、ナンバープレート代金を支払い、新しいナンバープレートを購入。
ナンバープレートを自分で取り付けて、封印場に移動して、係の方に車台番号を確認して頂き、封印キャップを取り付けてもらって…
1ナンバー新規登録完了っと。
1日で終わって良かったー。
翌日以降だと、後日再申請となってしまい、新たに検査手数料がかかってしまうんだよなー。
無駄な費用を払わずに済んで一安心。
皆さんも余裕を持って受検してくださいね。
困ったときは、東伸自動車にご連絡を!
想定外のハプニングで、泣きそうになった私ですが、無事に1ナンバー登録を終えることが出来、お客様にお車をお引渡しする事が出来ました。
現在、お客様はキャンピングカーへの構造変更の完成に向けて、あーでもないこーでもないと模索しながら、楽しくキャンピングカー作りに励んでいらっしゃるそうです。
さて、構造変更といっても、お客様によって、ご希望の内容が異なりますので、仕上がりは様々です。
お客様の状況に応じて、臨機応変に対応出来ることが、東伸自動車の強みだと自負しております。
困ったときは、
『東伸自動車に頼めば、なんとかしてくれるはず!』なのだワン!
と頭の片隅にでも留めておいて頂けたら幸いです。
新車登録の手続きにしても、構造変更の手続きにしても、慣れているとはいえ、手続き関係はとにかくややこしくて、書類の準備にも時間はかかるし、陸運局での検査や登録も時間もかかって本当に大変だなーとつくづく思います。
これらの作業も含め、東伸自動車におまかせ頂けたら、個人で行うには非常に面倒で大変なお手続きも、東伸自動車が代わりに行いますので、ご一報くださいませ。
お客様のお車がご希望通りに仕上がるところを見せて頂ける事が私の楽しみだったりします。
近いうちに、お客様のキャンピングカー作りがどこまで進んでいるのか覗きに行ってみようかなー。
何もハプニングが起こっていないことを願って(笑)
その時は、新たな記事をアップしますね。
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