ヤマハ《CYGNUSシグナス》 メーターパネルの液晶が見えない!門真の整備士が偏光板の劣化を修理!!
今回お客様からお預かりしたのは、ヤマハ・シグナスのバイクメーターです。通勤や通学、街乗りなど日常使いに人気のスクータータイプのバイクです。軽くて操縦性も安定しており、モデルチェンジする度に人気も上昇し、今では125ccバイクの完成形とまで言われています。
シグナスがモデルチェンジする度に人気が高くなっていくのは、ヤマハの開発思想「人機官能」がシグナスにしっかり反映されているからではないでしょうか。YAMAHAのホームページには「乗る人のこころに触れるテクノロジー」と記載されています。例えば、鍵穴に盗難を防ぐためのキーシャッターが付いていたり、給油口がフロントにあって給油しやすくなっていたり、メットインスペースの収納力が高かったりと、プチストレスになる様な箇所が改善され、まさしく痒い所に手が届く、便利さ満載のバイクに仕上がっています。もちろん走行性能において優れているのは言うまでもありません。
そんな乗りやすく人気のシグナスですが、メーターパネルが見えないとのご依頼を今回頂戴しましたので、門真の整備士が修理致しました。生活必需品としてのシグナスを取り戻すまでをまとめたいと思います。

●お預かりしたお車
メーカー・ブランド | YAMAHA ヤマハ CYGNUS X シグナスX 正式型番はXC |
名前の由来 | シグナスの名前の由来は「白鳥座」からきています。初期型の「シグナス XC180」のフロントカウルが白鳥のくちばしをイメージした事が由来ですが、現行のシグナスにはあまり面影は感じられないかなと思います。 白鳥座の英語スペルは「Cygnus」と書きます。 |
●故障の症状
液晶メーターの表示が薄い。見えない。

シグナスの計器類は、左側がスピードメーター、右側がマルチファンクションディスプレイになっています。マルチファンクションディスプレイの中には以下の様な機能があります。
・オドメーター(ODO)
走行した総距離を表示します。
・トリップメーター(TRIP)
リセットしてからの走行距離を積算します。
・エンジンオイル交換表示
エンジンオイルの交換時期になると点滅します。
オイル交換トリップメーターを表示している時に点灯します。
・オイル交換トリップメーター(TRIP+エンジンオイル交換表示点灯)
最後にエンジンオイルを交換してから走行した距離を積算します。
・時計
・燃料計
この小さなディスプレイの中にこれだけの機能があると言うのに、「見えない」では済まされません。不便なのはもちろんの事、これが250cc以上のバイクだった場合は、車検に通らない可能性があります。排気量125ccのシグナスには車検はありませんが、それでも公道を走っている時にバイクのメーターが故障している事を警察官に指摘されれば、6000円の罰金と違反点数1点の減点になります。
ではなぜ「見えない」のかについてですが、電子メーターには液晶ディスプレイが使用されています。液晶ディスプレイはそれ自体が光るわけではなく、外部電源が加わる事で明暗を切り替えています。偏光板は液晶パネル(画面)を構成する要素の一つになります。多方向から入ってくる光に対して、特定の光だけを通過させる、または他の方向に振動する光を遮断するなどして、画面のコントラストを向上させています。その為、偏光板が劣化してしまったメーターパネルは液晶が見えづらくなります。

偏光板は特定方向に振動している光のみを通しますので、一層目と二層目(上図のピンクの部分)では、偏光板は90度向きを変えて配置されます。「垂直の光だけを透過させる」偏光板と「垂直ではない光を反射する」偏光板、2枚の偏光板で光の振動を一定の方向に整えています。こうする事で、私達の目に画像や文字が見える仕組みになっていますので、液晶画面には必ず偏光板が必要です。
その絶対必要な偏光板が、紫外線の影響で劣化したことで、液晶表示が薄く見えづらい状態になってしまいました。
●故障箇所の特定と診断
先にも起筆しましたが、「液晶メーターが薄くなって見えない」原因は、液晶パネルが日焼けして偏光フィルムが機能しなくなった為です。電源を入れても液晶表示が薄く、燃料メーター等を読み取る事が出来ません。このままでは安全面も利便性も確保できませんのでお修理させて頂きました。
修理内容は、偏光板の貼り換えになります。
●故障修理の内容と費用
作業内容・部品等 | 工賃 | 部品代 |
---|---|---|
メーターフィルム貼替(1箇所) | 18,000円 | 2,000円 |
合計 | 18,000円 | 2,000円 |
消費税 | 1,800円 | 200円 |
総計 | 22,000円 |
●修理後の様子
修理後はこの通り!!通電テストを行って問題無い事を確認しました。

見えづらかったメーターは、文字がクッキリして、これなら昼夜問わず心配いりません。
●まとめ
偏光板が液晶ディスプレイに無くてはならないものだという事は、先にも起筆しましたが、バイクのみならずテレビ、ノートパソコン、スマートフォンなど私達の生活のありとあらゆるところに、液晶ディスプレイは存在します。
今回お預かりしたシグナスは、針と液晶パネルの両方が組み合わされています。ニードルタイプのスピードメーターに、液晶表示はオドメーターや燃料系となっています(型式によってメーターのデザインは変わります)。デザイン性以外にも、針には針の、液晶には液晶の良さがあるなと思います。例えば・・・
メリット | デメリット | |
針 | 各メーターが個々に機能しているので、不具合が発生した場合でも、不具合部分以外は視認が可能。 修理コストが比較的安く済む事が多い。 | 日光や夜間の街頭など、条件によっては見づらい。 |
液晶パネル | 明るく見やすい(視認性が高い)。 | 液晶パネル事態にトラブルが発生すると、全ての情報が視認できない。 機能が増え、操作方法が煩雑になり、望む機能を引き出すには手間がかかる。 |
現在(最新)のシグナス・グリファス(GRYPHUS)は、シグナスXの進化版と言われていますが、そのメーターは、大型フルデジタル液晶マルチファンクションメーターパネルになっています。メーター中央にはスピードメーターが大きな文字で表示され、タコメーターはバーグラフ表示、エンジン回転数は左右対称に配置表示されダイナミックになっています。メインキーをオンにすると、疾走感のあるオープニングアニメーションが展開されるとか。これが本当にスクーターと呼ばれるジャンルに属するバイクのメーターなのか!と思わず驚嘆してしまいます。
シグナスXのメーターも2018年からフルデジタルになっていましたが、更にデザインを一新しています。疾走感のあるオープニングアニメーション、これも人機官能の開発思想によるものでしょうか。
バイクのみならず、自動車にももちろん液晶ディスプレイは普及しています。タッチスクリーン(パネル)やナビシステム、コネクティビティ機能などが次々に搭載されています。バイクにもブルートゥース接続やタッチパネルメーター等が装備されたモデルが出はじめています。五感を刺激する爽快感や、生活の中の手段としてのバイクは、車とはまた違った際立ちがありますが、快適に楽しく、そして安全な走行の為の情報ツールとして,電子制御技術が使用されている点については車もバイクも変わりありません。もしかしたら先進技術はバイクにこそ求められる技術なのかも知れません。事故の際のリスクは、車に比較すればバイクの方が高く、致死率は4倍と言われています。特に夜間の運転中にバイクの速度が見えないまま運転するのは非常に危険です。「ディスプレイくらい些細な事」と思わず、お気軽に東伸自動車までお問い合わせ下さい。

お問い合わせ
お気軽にお問い合わせください