TOYOTA  <ハイエース スーパーGL KDH201V> エンジンチェックランプ&DPFランプ点灯!! DPF強制再生できない!!門真の整備士が原因を解決、修理!!

 今回お客様からお預かりしたお車は「TOYOTAトヨタ ハイエース スーパーGL」です。ハイエースバンはワンボックスの商用車になりますが、グレードにはベースグレードのDXと上位グレードのスーパーGLがあります。積載量、走行性能、安全性どれをとっても抜群のハイエースバンは、キングオブバンと言っても過言ではありません。

 商用車と言っても乗用使用としてもニーズは高く、レジャーや趣味などにハイエースを愛用されているユーザーも少なくありません。他の車種に比べれば、派手さは無いかも知れませんが、揺るぎない風格を持ったお車だと感じます。今回お預かりしたお車にはルーフラックが取り付けられていましたので、お客様(ドライバー)のバディとして活躍されている事とお察しいたします。ハイエースにはバディ(buddy)と言う言葉が本当によく似合います。

 そんなbuddyが、今回エンジンチェックランプ・DPFランプ点灯と言う事で入庫しました。原因を探るべく門真の整備士がお車を拝見しましたのでまとめたいと思います。

メーカー・ブランドTOYOTAトヨタ ハイエース バン スーパーGL
型式QDF-KDH201V
エンジン (パワートレイン)1KD-FTV 使用燃料:軽油 総排気量:3000cc
年式・初年度登録2017年
走行距離189157㎞

 お客様のお話しでは、「手動再生が出来なくなったので強制再生をしてもらったが、ランプがすぐに点灯した。ランプが点灯するタイミングもどんどん早くなってきた」との事でした。

【現状確認】

①エンジンチェックランプ点灯 
②DPFランプ点灯

 DPF(=排ガス浄化装置でディーゼル微粒子捕集フィルター(Diesel particulate filterの略。)は、フィルター内に溜まったススが一定量になると自動的に燃焼再生処理しています。ところが目詰まりが進行してしまうと手動再生が必要になり、強制的に燃焼させてフィルターの状態を維持させます。この状態がDPFランプが点滅している状態です。

 手動再生でも堆積物が焼けずに残り、回復が難しい状態になると点滅から点灯に替わります。点灯・点滅の際の対処法はメーカーによって違いますので、ここではトヨタ車について簡単に起筆致します。


【ランプ点滅した場合】
  50㎞以内に手動再生を行う。
 パーキングブレーキを確実にかけシフトレバーを「P」にする。(MT車は「N」)
  ↓
 周囲に燃えやすいものや人がいない事を確認する。
 必ず屋外の風通りの良いところで行う。
 エンジンが暖まっている事を確認します。冷えている場合はエンジン回転数3000rpmまで踏込み温める。
  ↓
 排出ガス浄化スイッチを押す。
 手動再生目安時間:15分~40分
   ↓ ※目安の時間を超過しても終了しない場合は以下の事が考えられます。
  ↓  触媒の劣化、インジェクターや排気シャッターバルブの故障、EGRクーラーの詰まり等  燃焼再生処理が終了すると、警告メッセージが消え、アイドリング回転数が元に戻ります。


  ・注意点
 排出ガス浄化スイッチを押したとは、アクセルペダルを踏まない。ペダルを踏むと処理が中断されます。
 再生処理が終了したら、排気管を綺麗にするために数回空ぶかしをします。

   ※手動再生を無視した場合はインジケーターが点灯に変わり手動再生が不可能になります。

  【ランプが点灯した場合】
 点滅から点灯に替わるとエンジン制御がかかり、排出ガス浄化装置スイッチが機能しなくなります。
 そのまま走行を続けると、故障に繋がる恐れがあります。
 すぐに点検される事をおすすめ致します。  

参考までに

国土交通省HP「DPF(黒煙除去フィルタ)等の正しい使用方法について」より引用

 DPFのインジケーターランプの点灯と共に、エンジンチェックランプも点灯しています。DPFのインジケーターランプだけならスス詰りのサインですが、エンジンチェックランプも同時点灯しているという事は、DPFの詰まりが原因で排気が上手くいっていないサインになります。なお、この2つが同時に点灯している時は、手動再生はほぼ不可能になります。

 早速診断機で確認したところ、エラーコード[P244A(バンク1)]が表示されました。


【エラーコード:P244A】 →  DPF差圧過小

PM強制再生が正常に終了しなかった時に検出されるコードです。
DPFのフィルターの前後には圧力センサーが取り付けられており、DPFが詰まると入り口と出口で差圧が生じる仕組みになっています。差圧が出る=詰まっていると判断して自動再生に入りますが、この圧力差がセンサーで検出できない状態が差圧過小というエラーコードになります。このエラーコードが出るという事は、DPF差圧センサーの故障か、詰り、排気漏れなどが疑われます。  

 まずは強制再生を行ってみますが、このエラーコードは診断機で削除できない為、一旦バッテリーを外してエラーコードを削除してからPMの強制再生を行います。

 強制再生の結果は60分かかって371℃までしか上がりません。これでは焼けません(強制再生出来ません)。もちろんエンジンチェックランプも点灯したままです。

 車の型式によって違うのですが、今回お預かりしたハイエースは排気温度を上げる為に、PM再生時にターボ近くに装着されているフューエルアディションインジェクターが、排ガス中に燃料を噴射する仕組みになっています。温度が371℃までしか上がらないという事は、燃料が噴射されていない可能性が高いと見通しを立てる事が出来ます。

作業内容・部品等工賃部品代
初回診断料30,000円 
アディションインジェクター交換30,000円29,600円
交換後強制再生及び試運転エラーコード消去20,000円 
DPF触媒洗浄 DPFクリーン12,000円9,800円
ガスケット類 3,500円
合計92,000円42,900円
消費税13,490円
総計148,390円

                                   2024年12月現在

 アディショナルインジェクタ―を交換後、温度をチェックくしたところ、650~670℃まで上昇し、問題無くPM強制再生が行われている事が確認出来ました。

 最後にDPFクリーナー(燃料系添加材)を注入して修理完了です。強力な洗浄作用がありますので、DPFやセンサー類、燃料システムに堆積したススを除去し、各パーツが持つ本来の機能を回復してくれます。

 DPFは、2003年にスタートした「自動車排出ガス規制」により設置が義務付けられました。ディーゼル車の排気ガス中のPM(粒子状物質=Particulate Matter)から出たススや硫黄酸化物、可用性有機物などをキャッチして綺麗な排気ガスにしましょうと言うのが主旨です。

 インジェクターは軽油を噴射しますが、何もPMの強制再生の為だけにインジェクターは有る訳ではなく、噴射された軽油はエンジン内部で燃やされて車を動かす出力源になる事がメインになります。インジェクターの役割は最適な燃料を供給する事ですが、実は軽油を5段階に分けて噴射しています。


①パイロット噴射   燃料着火前に混合気を作っておく役割がある。着火性を高める為の噴射
  ↓
②プレ噴射      燃料温度を穏やかに上昇させて、燃焼室内に種火を作る為の噴射
  ↓        メイン噴射時の粒子状物質の発生を抑える効果が期待できる。
③メイン噴射     主となる噴射で、出力源となる噴射
  ↓
④アフター噴射    メインで燃え残った燃料を完全燃焼させるための噴射
  ↓        排気ガスの温度を上昇させ、DPF装置の作動効率を高める。

⑤ポスト噴射     排気管に燃料を送る事をメインとした噴射。
           排気ガス後処理の効率を高めるため、排気温度上昇を目的とした噴射。

 高圧の状態で燃料を多段噴射するこのシステムを「コモンレールシステム」と言います。エンジン性能を大々的に向上させる効果がある事からディーゼルエンジンには欠かすことが出来ないシステムです。今回修理させて頂いたのは「⑤ポスト噴射」に使われていたインジェクターになります。その為、このインジェクターは「第5のインジェクター」と呼ばれています。もちろん由来はコモンレールシステムの「⑤ポスト噴射」から来ています。

 今回お修理させて頂いた「DPFランプ点灯からのインジェクターの交換」は、コモンレールシステムの不具合では一定量みられる症状になります。理由としてはインジェクターが正常な燃料噴射を行う事が出来ず、結果不完全燃焼が起こり大量のススを発生させてしまうからです。

 ECUがインジェクターに対して、燃料の噴射タイミングや噴射時間を調整し、噴射量をコントロールしています。それが少しでもズレるとDPF再生の為のポスト噴射が消失して、DPF再生が機能しないという事態が起きてしまいます。これを何度も繰り返すうちにDPFの故障に発展させてしまうのです。

 では手動再生と強制再生を繰り返せばDPFは綺麗になって、今迄と同じサイクルで使用出来るのかというとなかなかそう甘くありません。今回のお客さまもそうでしたが、「ランプが点灯するタイミングもどんどん早くなってきた」と仰っておられます。その原因はDPFに堆積したススではなくアッシュが原因になっている為です。

ススディーゼルエンジンの排気ガスに含まれるPM(粒子状物質)に成分の一つがスス(煤)である。軽油の燃料から発生します。
アッシュエンジンオイルに含まれる金属添加物です、エンジンオイルは燃焼室内で軽油と一緒に燃焼されますが、金属分はDPFの再生処理をしても燃え残り、灰となって堆積していきます。

 上表でも起筆しましたが、アッシュは燃焼しません。エンジンオイルの燃えカスであるアッシュは金属成分(リン・カルシウムなど)ですので、燃焼しきらず鉄粉(砂状)の様になったり、棒状に様な形状になるアッシュも有ります。燃え切らないという事はどんどん堆積していきます。再生処理をしたらススは燃焼されますが、アッシュはそのまま堆積していく。この繰り返しが「ランプが点灯するタイミングもどんどん早くなってきた」に繋がるのです。時にはフィルターに詰まったススなどが異常燃焼の原因になって、DPFを溶かしてしまう事すらあります。

 最近では、アッシュが生成されにくいアッシュフリーのエンジンオイルもあります。まずはDPFのメンテンアスをしっかり行う事が、維持コストを抑える一番の近道です。DPFのメンテナンスは運転環境や走行距離によって大きく変わってきますので、一言でDPFの不具合と言っても一台一台状態は違います。門真の整備士がお客様のバディ(お車)に合った対応(処置方法)を探すところからスタートさせていただきます。もしご不安な点やお困り事が等がございましたらお気軽に東伸自動車までお問い合わせ下さい。

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