【TOYOTA ハイエースDX】構造変更で1ナンバーから8ナンバーへ!!キャンピングカー登録
今回お預かりしたお車は、トヨタTOYOTA ハイエースバンDXです。荷物を乗せる事をメインにした貨物車で、ハイエースの中では最もベーシックなグレードになります。貨物登録なので基本は1・4ナンバーになります。このお車はエンジンが1GD(2800cc)タイプですが、当エンジンは静音性が高くなったと言われています。
お客様のご希望はこのハイエースバンDXをキャンピングカー仕様にしたいとのご依頼でした。構造要件を満たす為、ベッドキットと水道設備などの工事を実施する必要があります。門真の整備士が、お客様から構造変更をお受けして、キャンピングカーに変身するまでをまとめたいと思います。
●お預かりしたお車
メーカー・ブランド | トヨタTOYOTA ハイエース バン DX |
型式 | 3DF-GDH206K |
エンジン | 1DG ディーゼルエンジン(2800cc) |
年式・初年度登録 | 2022年 |
走行距離 | 9036㎞ |
●8ナンバーってどんな車?
8ナンバーに分類される車の事を「特殊用途自動車」と言います。特種自動車と聞いてもピンとこないかも知れませんが、キッズの大好きな車!消防車や救急車などは特種用途自動車に分類されます。普段意識する事は少ないかも知れませんが、車いす移動車や霊柩車、清掃車なども特種用途自動車なので8ナンバー車になります。そしてキャンピングカーも「特種用途自動車」として8ナンバーに分類されます。
特種用途自動車は構造要件が見直され、2022年4月から運用が開始されています。取り回しの良いハイエースはベース車両として構造変更にはもってこいの車です。とは言え、装備内容などは構造要件を満たさなければ、手続きを進める事は出来ませんし、8ナンバーをゲットする事は出来ません。
●8ナンバーになるという事は
貨物車(4ナンバー、1ナンバー)が8ナンバーになるという事は、「小型貨物自動車」から「特種用途自動車」に変更になります。継続車検が2年毎になるので、手間が減る、車検手数料が変わると言ったメリットがあります。保険については以下にまとめます。
8ナンバー | 1・4ナンバー | 3ナンバー | ||
重量税 | ~2t | 16400円/年 | 6600円/年 | 16400円/年 |
~2.5t (8ナンバーは~3t) | 24600円/年 | 9900円/年 | 20500円/年 | |
自動車税 | 2ℓガソリン車 | 28800円/年 | 16000円/年 | 36000円/年 |
2.7ℓガソリン車 2.8ℓディーゼル車 | 40000円/年 | 16000円/年 | 50000円/年 | |
自賠責保険料 | 13930円/年 | 19120円/年(1ナンバー) 14280円/年(4ナンバー) | 12700円/年 |
◇重 量 税・・・車の重さによって納税額は決まる。
◇自 動 車 税・・・排気量によって税額が変わります。1・4ナンバーは最大積載量で税額が変わります。
◇自賠責保険料・・・自家用登録と貨物登録の違い、また積載重量によって保険料が細分化されています。古い年式ほど税額がアップする。
●8ナンバーにするためには
先程も起筆しましたが、構造要件を満たさなければ構造変更(8ナンバーに)する事は出来ません。就寝設備の数、就寝設備の構造及び寸法、要件を満たす水道設備及び炊事設備を有する事、水道設備及び炊事設備の設置方法等の要件を満たす必要が有ります。
但し2022年4月からの改正内容はハードルを上げる為の規制強化ではなく、規制緩和になりますので自由度がアップし、多様化するお客様の要望に沿うキャンピングカーが作りやすくなったと言えます。8ナンバー車へのハードルが低くなり、今までなら架装が不可能だったミニバンや軽自動車等をキャンピングカーに構造変更する事も可能になりました。
【新構造要件】
①室内高の緩和
【改正前】
シンク前の車内高は、床から天井まで「1600㎜以上の空間を有していること」
【改正後】
シンク前の車内高は、床から天井まで「1200㎜以上の空間を有していること」
(着座姿勢で利用可能な水道・炊事施設)
②就寝定員の最低数の緩和
【改正前】
乗車定員の1/3以上(端数は切り上げ)を就寝定員とし、乗車定員3名以下の場合は2名以上の大人用就寝設備を有すること
【改正後】
乗車定員3名以下の場合は1名以上 (端数は切り捨て)
●ベッドキットと水回りの設置
国土交通省は、キャンピングカーの定義を「車室内居住してキャンプをすることを目的とした自動車」と用途区分通達の中で定義付けています。その為には、就寝設備と水道設備及び炊事設備を有する事と記載されています。
【キャンピング車に関する構造要件】
車室内に居住してキャンプをすることを目的とした自動車であって、次の各号に掲げる構造上の要件を満足しているものをいう。
1 次の各号に掲げる要件を満足する就寝設備を車室内に有すること。
(1) 就寝設備の数 乗車定員の3分の1以上(端数は切り捨てることとし、乗車定員2人以下の自動車にあっては1人以上)の大人用就寝設備を有すること。 この場合において、大人用就寝設備を少なくとも1人分以上有している場合は、子供用就寝設備2人分をもって大人用就寝設備1人分と見なすことができる。
(2) 大人用就寝設備の構造及び寸法
ア 就寝部位の上面は水平かつ平らである等、大人が十分に就寝できる構造であること。
イ 就寝部位は1人につき長さ1.8m以上、かつ、幅0.5m以上の連続した平面を有すること。
ウ 1人当たりの就寝部位毎に、就寝部位の上面から上方に0.5m以上の空間を有すること。ただし、就寝部位の一方の短辺から就寝部位の長手方向に0.9mまでの範囲にあっては、0.3m以上の空間があればよい。
(3) 子供用就寝設備の構造及び寸法
(2)の要件は、子供用就寝設備について準用する。この場合において、(2)イ中「1.8m」とあるのは「1.5m」と、「0.5m」とあるのは「0.4m」と、(2)ウ中「0.5m」とあるのは「0.4m」と、「0.9m」とあるのは「0.8m」と読み替えるものとする。
(4) 就寝設備と座席の兼用 就寝設備は、乗車装置の座席と兼用でないこと。 ただし、就寝設備及び乗車装置の座席が次の各号のすべての要件を満足する場合は、就寝設備と乗車装置の座席を兼用とすることができる。
ア 乗車装置の座席の座面及び背あて部が就寝設備になることを前提に製作されたものであること。
イ 乗車装置の座席の座面及び背あて部を就寝設備として使用する状態にした場合に、就寝設備の上面全体が連続した平面を作るものであること。
(5) 格納式、折りたたみ式及び脱着式の就寝設備は、これを展開又は拡張した状態で(2)又は(3)の要件を満足すること。
2 次の各号に掲げる要件を満足する水道設備及び炊事設備を有すること。
(1) 水道設備 水道設備とは、次の各号に掲げる要件を満足するものをいう。
ア 10リットル以上の水を貯蔵できるタンク及び洗面台等(水を溜めることができる設備をいう。以下同じ。)を有し、タンクから洗面台等に水を供給できる構造機能を有していること。
イ 10リットル以上の排水を貯蔵できるタンクを有していること。
ウ 洗面台等は、車室内において容易に使用することができる位置(洗面台等に正対して使用でき、洗面台等と利用者の間に他の設備等がなく、かつ、洗面台等を利用するための床面がその他の床面との間に著しい段差を有していないことをいう。)にあること。
エ 洗面台等を利用するための床面から上方には有効高さ1,600㎜(洗面台等の上端(蛇口、レバー及び浄水器等、水を供給する構造を除く。)が、これを利用するための床面から上方に850㎜以下の場合にあっては1,200㎜)以上の空間を有していること。
(2) 炊事設備 炊事設備とは、次の各号に掲げる要件を満足するものをいう。
ア 調理台等調理に使用する場所は0.3m以上×0.2m以上の平面を有すること。
イ コンロ等により炊事を行うことができること。
ウ 火気等熱量を発生する場所の付近は、発生した熱量により火災を生じない等十分な耐熱性・耐火性を有し、その付近の窓又は換気扇等により必要な換気が行えること。
エ コンロ等に燃料を供給するためのLPガス容器等の常設の燃料タンクを備えるものにあっては、燃料タンクの設置場所は車室内と隔壁で仕切られ、かつ、車外との通気が十分確保されていること。
オ エの燃料タンクは、衝突等により衝撃を受けた場合に、損傷を受けるおそれの少ない場所に取り付けられていること。
カ コンロ等に燃料を供給するための燃料配管は振動等により損傷を生じないように確実に取り付けられ、損傷を受けるおそれのある部分は適当なおおいで保護されていること。
キ 調理台等は、車室内において容易に使用することができる位置(調理台・コンロ等に正対して使用でき、調理台・コンロ等と利用者の間に他の設備等がなく、かつ、調理台・コンロ等を利用するための床面がその他の床面との間に著しい段差を有していないことをいう。)にあること。
ク 調理台等を利用するための床面から上方には有効高さ1,600㎜(調理台等の上面が、これを利用するための床面から上方に850㎜以下の場合にあっては1,200㎜)以上の空間を有していること。
(3) 水道設備及び炊事設備の設置方法 水道設備のうちの水タンク、炊事設備のうちの常設の燃料タンクその他これらの設備に付帯する配線・配管については、床下等に配置しても差し支えない。また、水道設備のうちの水タンク及び炊事設備の設置場所が他の部位と明確に区別ができる等専用の設置場所を有する場合には、取り外すことができる構造のものでもよい。
国土交通省HPより引用「自動車の用途等の区分について」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/
お客様からお預かりしたお車を拝見すると同時に、ご要望などをお伺いいたします。上記の条件を満たす様に注意を払い、その後採寸し、図面を引いていきます。
ご予算に合わせて、ベッドキット、キッチンシェルフ部の骨組みをしっかりと作り付けていきます。ベッドキットや水回りを作りつけていく事で、ちょっと前までは「普通の貨物車」だったのが、あれよあれよと言う間にキャンピングカーに変身していきます!セカンドシートはそのままで、乗車定員は6名になりました。
●8ナンバーにする為の構造変更手続き
構造変更には「軽微な変更」と「構造変更」に分かれます。一定の範囲内の場合は「軽微な変更」になりますので、諸手続きは必要ありません。今回の様に、定員や用途に変更が生じる場合は「構造変更」になります。
構造変更の手続きの大まかな流れは以下の通りですが、今回の場合は、保安基準に適合しているか証明する必要も有り、準備する書類の量はかなりの量になります。
【お客様のお車が8ナンバーになるまで】
①ベース車両の準備
②計画を立て構造変更(作業)を行う
③書類の準備
・申請書(OCR申請書) https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk6_000021.html
・自動車検査証
・自動車検査票
・点検整備記録簿
・自動車損害賠償責任保険(共済)証明書
・使用者の委任状
・所有者の委任状
・手数料納付書
・自動車重量税納付書
・納税証明書
④構造変更検査を受検する為の事前書類審査(③を提出) ⑤④がクリア出来たら構造変更検査の実車検査の予約
上記の内、③まで準備出来たら事前書類審査を受けます。審査には1週間から10日程度日数を要します。事前書類審査に合格したら「改造自動車審査結果通知書」が交付されますので、引き続き実車検査になります。実車検査の予約が出来たら、提出した書類を受け取り検査ラインへ向かいます。
もちろん、東伸自動車はここで「合格!」をいただき、8ナンバーを取得すべく準備を進めます。
【検査に合格したら…】
重量税を納付すると共に、登録窓口に全ての書類を提出しチェックを受けます。
書類の確認が済んだら、新しい車検証と検査標章(ステッカー)が交付されます。
旧ナンバープレートを返却し(自分で取り外す)、新しいナンバープレートを購入し取り付けます。
ちなみに新しいナンバープレートの取付けも自分で行います。 最後に封印場で、係の人に封印キャップを取り付けて貰い、標章ステッカーを貼り換えれば、めでたく8ナンバー登録完了です。
忘れがちですが、検査場を出る前に、任意保険の契約先に連絡をして新しいナンバーを連絡しておく必要があります。これで本当に、8ナンバー登録完了です。
●構造変更にかかる費用
今回の構造変更に関する費用は以下の通りとなります。
調査費用及び書類作成費用 構造変更検査 | 86,000円 | 改造の内容を精査し、審査に対応する書類や、改造方針を策定する費用です。 |
作業工賃・部品費用・車検整備 及び消費税 | 61,975円 | 実施に運輸支局に車両を持ち込、構造変更や改造申請に係る検査・登録を受ける費用です。 |
ETCセットアップ料 | 3,000円 | |
諸費用の合計 | 66,480円 | 印紙、重量税・自賠責保険料・検査登録費 |
合計 | 217,455円 |
※構造変更の内容(改造内容)やグレードによって、費用は異なって参ります。詳しくは車検証をお手元に置いて弊社までお問い合わせ下さい。上表は目安としてお留め置き頂けますと幸いです。
●まとめ
今回お預かりしたお車はちょうど車検の時期と重なっていましたので、ベストなタイミングでお話しを頂けて、本当に良かったなと感じています。
なぜなら、車検が後どれだけ残っていたとしても、構造変更すると新たに受検し直さないといけなくなるからです。車検を受けたばっかりだったとしても、構造変更によって車検の残り期間は取り消されてしまいます。ですので車検が切れるタイミングで今回お持込み頂けたことは本当に経済的と言えます。
構造変更(キャンピングカー)はお客様のアイデンティティや生活がギュッと凝縮された空間だと門真の整備士は感じています。好きなモノ、好きな色、趣味などお客様の個性を、まるで車が「乗ればわかるよ」と言っているようです。構造要件が緩和された事で、キャンピングカーも「高嶺の花」だったものがだいぶ手が届く様になってきました。今では種類も豊富ですし、希望を形にするハードルも低くなったと思います。
とは言え「予算内でどうにかしたい!」と思うのは至極当然の事です。個性と機能性と予算と・・・、揺れる気持ちが錯綜された方は、是非東伸自動車までお問い合わせ下さい。お客様のご希望などをお聞きした上 で、出来る事出来ない事、予算、期間等について一緒にお話しを進めていきたいと思っております。東伸自動車は今まで多くのお車の構造変更に携わって参りました。今まで積み重ねてきたノウハウと実績を最大限に活かし、お客様のお車をご担当させていただきたいと思っております。構造変更は東伸自動車まで!どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。
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