〈修理レポート〉

修理日時:2020/02/05

車種:E25 日産 キャラバン



症状:

走行中にエンジンの警告灯が点灯し出力がする。ターボが効かなくなり、スピードが出なくなる。DPFが再生出来なくなる。



対応:

お電話にてお問い合わせ頂きました。ご入庫頂ける状況でしたので、自走にて即日ご来店頂きました。



診断:

弊社の工場に入庫後、状況を確認しましたところ、エンジン警告灯が点灯しDPFが再生できない状況になっていました。

最寄りの修理工場やディーラーにも修理でご入庫なさったそうですが、20分程のコンピュータ診断作業で修理を終えたそうです。

早速、初期診断に取り掛からせて頂きました。コンピュータ診断機でお車の状態や様々なセンサー類の波形を確認させて頂きます。

そうしますとまず初めに空燃比センサーの波形が振れていない事が確認出来ました。また、エキゾースト周りやインテークを目視で分解点検致しました。

インテーク側は予想通り物凄い量のススで50%程度通路が塞がっている状況でした。ただ、メーターの走行距離からすると溜り過ぎでした。

恐らく、空燃比センサーが働いておらず燃調が崩れ、異常な量のススが発生し、DPFやEGR、インテークなどにススが堆積していたものと考えられます。

まず、空燃比サンサーが悪くなると燃料と空気のバランスが崩れてPMが増加し、DPFやEGRバルブ本体と分岐経路、インテークマニホールド内にススの塊ができます。

そのススのせいで排気ガスの循環が悪くなり、行き場をなくした排気ガスがDPFの処理能力を超えて排出され、排気不良を起こします。

その結果、DPFの再生が出来なくなったり、ターボの作動が出来なくなります。そして、パワーダウンを起こし、エンジンの警告灯を点灯させます。

お客様のおっしゃっていたターボが効かなくなり、スピードが出なくなる。エンジンの警告灯が点灯しDPFが再生できなくなる。という症状と一致します。

あとは念の為、ターボの方やオイル漏れ、インタークーラーなど、必要箇所を点検し、目立った異常がない事を確認致しました。

その旨をお客様に伝え、お見積りと修理後の追加修理の可能性等をご案内致します。すぐに作業にかかっても良いというお返事を頂きましたので早速必要な部品を発注致しました。

〈用語の説明〉

空燃比センサー…エンジンからの排気ガスの酸素の濃度を測り、エンジン内部の燃焼状況が適切がどうかを判断するセンサー。酸素の濃度により燃料が濃いのか薄いのかを判断し、燃調を行うのに必要な装置。


DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)…ディーゼルエンジンの排気ガス中の粒子状物質をフィルターで漉し取り大気開放させないようにする装置。使用頻度に応じてフィルターの目詰まりを起こさないよう、内部を高温加熱し、クリーニングする機能がついているものが多い。


EGR(排気再循環)…エンジンからの排気ガスの一部を取り出し、もう一度、エンジン内への吸気に混ぜることで、排気ガス中の窒素酸化物の濃度を下げる装置
排気ガスは酸素濃度が薄い為、このガスを吸気に混ぜると混合ガスの酸素濃度が下がる。このことにより燃焼温度が低下し、窒素酸化物の発生が抑えられる。


触媒…エンジンからの排気ガス中に含まれる炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物といった有害な成分を浄化させる装置。
排気ガスがこの装置を通過する際に還元・酸化させることで上記の有害な成分を水や二酸化炭素、窒素に変換し大気開放する。


エキゾーストマニホールド…エンジンの燃焼室内から排気されたガスの通り路。
ここを通ったガスはEGRにより再吸入される経路に分配されたり、ターボタービンを回す経路に分配されたり、又は、そのまま触媒へ送られ、DPFを通り大気開放されるものとに分けられる。


インテークマニホールド…エンジンの燃焼室内への空気の吸入口。
バルブ機構になっており、大気から吸い込んだ空気や、EGRからの再吸入ガスを混合した空気の量を調節する役割を果たしている。



修理:

修理方法としてはまず、インテークマニホールドやDPF、EGRバルブなど排気ガスの通路の分解清掃と、DPFの強制燃焼プログラムの実行を行います。

次に古い空燃比センサーを新しい空燃比センサーに交換します。分解作業中に気が付いたのですが、この車両は以前にも同様の症状で修理歴があるようでした。

以前の修理でボルトが潰れていたり、インジェクター周りの燃料パイプが変形して燃料漏れも起きていました。もしかするとインジェクターの交換も必要かも…。

そして、分解清掃したDPFやインテークを組付けて行きます。燃料パイプは変形が酷いのでお客様にご確認し追加で交換させて頂きました。

空燃比センサーの交換後エンジンを始動し、コンピュータ診断機で動作の波形を確認しながら燃調が適切に行われている事を確認します。

そしてDPF内部を清掃する為にDPFの強制燃焼プログラムを開始します。ここで燃焼温度が上がらないようだとDPFの交換も考えなければなりません。




インテークマニホールド(清掃前)

インテークマニホールド(清掃後)

走行距離のわりに酷い汚れ具合です。


DPF(清掃前)

DPF(清掃後)

目詰まりをおこしていました。


燃焼中のデータ

修理後のDPFの燃焼温度です。600度を超え良く燃えています。


コンピュータ診断機の数値を確認しながらDPFの強制燃焼を行います。

燃焼温度は600℃付近まで上昇し、DPFの前後の差圧がほぼない状態にまで改善しました。

これはDPF内がキレイになり改善した事を意味します。内部の目詰まりが解消し、ススを燃やせる状況になっていると思います。

DPFは非常に高価な部品なので交換しなくてもよさそうでホッと一安心致しました。



次に冷間時や暖気完了時の空燃比センサーの動きの具合を確認します。新品に交換したので補正が出来ているのか出来ていないのか良く分からない…。

通常であれば以前の学習値を当てはめフィードバック補正を行うはずなのですが、どうも働いていない…。

取りあえず燃料漏れや部品の取り付け不良、アイドリング時の各種センサーの異常が無いことを確認出来たのでいざ試運転へ!!

ターボの回り具合やエンジンの吹き上り、パワーを確認しながら試運転を重ねました。

EGRバルブの動作も正常に行われているかどうか、コンピュータ診断機で確認しながら試運転を行います。

60㎞程走行し結果はほぼ良好ででしたが、やはり冷間時のエンジンの立ち上がりの鈍さが気になります。

ターボやEGR等の動作は問題ありませんでした。DPFの交換も必要なさそうです。

その後、何度か空燃比センサーの学習を行い、気になる冷間時の吹き上りの悪さも解消しました。

非常にパワフルな日産特有のディーゼルターボの走りが復活いたしました。

その後、修理の経過をご説明し車両をご納車させて頂きました。