【HONDA ホンダ CB400 バイク】液晶焼け・偏光板劣化で「液晶パネルが見えない!」 偏光フィルム・偏光版の貼り換えでメーターを完全修理! LED球に変更し更に明るく!大阪府門真市の整備士による徹底修理!!

 今回お客様からお預かりしたのは、HONDAホンダのCB400の“メーター”です。お客さまより「遠方で大阪まではなかなか行けないのだが」…とのご相談がございましたので、メーターの状況を細部までお聞きして、今回はメーターのみお預かりする事が可能と判断致しました。ただ、バイク及びメーターの状態は一台一台違いますので、全てのバイク(メーター)についてメーターのみをお預かりする事が可能という事ではありません。修理をお考えのお客様は必ず、電話にてお問い合わせの上、ご相談下さい。

 さて、CB400!!ネイキッドロードスポーツバイクの代表と言っても過言ではない名機です。教習車として採用されるだけあって、多くの人にとって乗りやすくまた、足付き性がいいので女性ライダーにも人気です。同時にずっとCBが愛機というベテランライダーさんもいるくらい、幅広いユーザーから根強い人気があるバイクらしいバイクです。さすが日本人の為に作られたバイクなだけあります。今では絶版車入りしてしまったCB400ですが、今回はそんな名機CB400のメーター修理を門真の整備士が承りましたのでまとめたいと思います。

●お預かりしたお車

メーカー・ブランドHONDAホンダ

CB400のメーター
型式 
年式・初年度登録 
走行距離 

 ホンダの看板的存在「CB400SF」は1992年に初代が登場し、2022年10月に生産が終了するまで30年の長きに亘って、多くの人に愛されてきた名機です。1990年代の400ccネイキッドブームをけん引し、尚且つ変わらない人気を誇ったのがこのCB400です。

 発売当初は408ccありましたが、免許制度の改正によりCB400は398ccになりました。1968年までは二輪免許で排気量に関係なく、全てのバイクを運転する事が出来ましたが、1972年に125ccの小型自動二輪免許が新たに設定され、1975年に排気量に制限のない自動二輪免許と400cc以下に乗る事が出来る中型限定自動二輪免許に分かれました。まだこの時点では中型限定自動二輪免許で400ccを超えるバイクを運転しても無免許ではなく条件違反と言う括りでした。

 その後、1995年に限定条件付きの運用期間が終了し、大型自動二輪免許が設定されました。同時に中型限定自動二輪は普通自動二輪免許に、小型限定自動二輪は小型限定普通自動二輪免許に移行しました。この免許制度の改定により408ccから398ccに排気量を変更しました。408ccだと大型免許が必要になるからです。余談ですが、408ccエンジンのCBのクランクケースに刻印してあるエンジン番号は「CB400FE」になっています。398ccエンジンのCBの刻印は「CB400E」で、違いが解るようになっています。

 うんちくはさておき、CB400はHONDAの「プロジェクトBIG-1」の系譜に属し、そのコンセプトの下、開発されたのが「CB400 SUPER FOUR」になります。昔は「カウリング」そのものが存在しなかった(若者の暴走行為に拍車がかかると認可が下りなかった)ので、当時はネイキッドと言う言葉も存在しませんでした。ところが1982年に規制緩和でカウリングの認可が下りた事で「レーサーレプリカ」ブームが到来します。スポーツバイク=レーサーレプリカと言われる程、どのバイクにもカウリングが装着される様になりました。

 そうなると今度はカウリングの付いていないバイクに対する需要が生まれ、その結果誕生したのが「ネイキッド」と呼ばれるバイクたちです。

 令和2(2020)年排出ガス規制が適用された為、一部機種が生産終了となりました。この時、HONDAで生産が中止になった車種の中にCB400の姿があります。


【令和2年排出ガス規制が適用されて2022年10月で生産終了となったHONDAの機種】

・CB400 SUPER FOUR/SUPER BOL D’OR
・Gold Wing(リアトランクレスタイプ)※Gold Wing Tourは除く
・VFR800F
・VFR800X
・ベンリィ110  

HONDAのみならず、国内のバイクに関して国土交通省が発表した新たな排ガス規制の内容には、排出ガスを浄化する装置の劣化を監視する機能=車載式故障診断装置(OBDⅡ)の搭載を義務化する内容が含まれていました。

【令和2年排ガス規制の適用時期】
新型車(全排気量)は令和2年12月から、継続生産車は令和4年11月から、原付一種の継続生産車は令和7年11月から。

  【OBDⅡ(車載式故障診断装置)とは】
排ガスを浄化する装置に劣化や不具合が起こった際にOBDⅡがその時の状況を記憶し、警告ランプを点灯させるなどして運転者に異常が発生している事を知らせる自己診断器。ECUやエラーを検知する為のセンサーと繋がっている。
※OBDⅡ=オンボードダイアグノーシス(On-board diagnostics)の略称

  排ガスの空燃比及び窒素参加濃度

 環境問題が大きく取り沙汰される様になり、車もその矢面に立たされてきました。様々な技術開発で厳しい規制を打開してきた日本ですが、排ガス規制は何も車だけではなくバイク(ガソリンを燃料とする二輪車)にも及んでいます。OBDシステムの導入、排ガス低減対策、耐久走行距離、燃料蒸発ガス低減対策など、ユーロ基準(ユーロ5)と同等の数値(内容)で、令和2年排出ガス規制がスタートしました。

故障の症状

 下の写真をご覧頂くとお解りいただけるかと思いますが、劣化によって液晶メーターの文字が読み取れない状態です。液晶内部の偏光板が焼けていると思われます。視認がかなり難しく、これはライダーにとって大きなストレスになる事が予想されます。

 症状の度合いは、起動しなくても液晶焼けを起こしている事がわかる程でした。色が変わってしまっています。


【偏光板とは】

自然光はランダムに振動して統一性がありませんので、光の振動方向を整える(偏りを持たせる)光学部品が偏光板です。光をコントロールして規則的な方向にのみ振動するようにします。偏光板を通す事で、光の通過を制御し、白黒の表示やカラー表示を実現します。偏光板が無ければ、ディスプレイは真っ白な板が単に光を発しているだけで、人の目に画像などは映りませんので、偏光板は液晶画面(パネル)にとって、無くてはならない部品です。

偏光板の性質を利用した製品としてよく知られているのは、偏光サングラス・調光窓・液晶表示装置(=液晶ディスプレイ=LCD=Liquid Crystal Display)等です。
LCDは外光(自然光)またはバックライト光の制御を、偏光板と液晶で通過or非通過(ONOFF)しています。 ※シャープは世界初の液晶表示付きポケット電卓「EL-805」を1973年に発売しました。ここに搭載された技術により、電力の低消費化、超小型化に成功し、シャープは以後液晶分野をリードする事になります。

故障箇所の特定と診断

①偏光板の劣化

 偏光板が劣化してしまったメーターパネルは、液晶が見えづらくなりますので修理が必要になります。CB400の純正メーターASSYを取り付けようと思うと、定価は〇万円を下りません。中古で出回る事も少なくなってきましたし、かと言って他社ASSYでは・・・。他社Assyでも取付けは可能ですが、やはり純正品にこだわりたいと思われているライダーの方は多くいらっしゃいます。そこで今回偏光板の補修だけで状況を改善し、液晶画面がはっきりと表示される様に修理する事にしました。

②LED球交換

 CB400のメーターは元から暗めですが、これをLED球にしたいとのご依頼でした。故障ではありませんが、今回偏光板の修理の機会を利用して、メーター球の交換をさせていただきました。

作業内容と費用

  メーターパネルを修理する為には、まずヘッドライトを外します。次にステーからメーターを外しますが、デュアルアナログメーターの針も外す必要があるので、ここは慎重に進めます。

 偏光板の補修後は、取り外した時と逆の手順で取り付けていきます。

作業内容・部品等工賃部品代
メーター液晶 修理20,000円 
バックライト LED球交換 3,000円
針受けピン 修理2,000円 
合計22,000円3,000円
消費税2,200円300円
総計27,500円
2024年11月現在

修理後の様子

 メーターの表示は問題無く回復しました。メーター球もLEDにした事で、明るさが全く違う仕上がりになりました。夜でも見えづらいと感じるほどCB400のメーターは暗かったのですが、ダンゼン運転しやすくなりました。

まとめ

 1970年代に液晶表示が普及し始め、今ではもちろんバイクも車も、液晶表示は珍しくありません。日本車では、トヨタのソアラに「エレクトロニック・ディスプレイメーター」の名称で採用されたのが初登場になります。筆者もトヨタ・マークⅡではじめてデジタルメーターを見た時は感動ものでした(笑)

 バイクはアナログメーターが長い間主流でしたし、1960年代半ばまではスピードメーターのみ、またはケース内にスピードメーターとタコメーターが一緒に収められているタイプが多数派でした。

 1960年代後半に入るとスピードメーターとタコメーターが別々のタイプ(2眼タイプ)が登場してブームになりました。形はそのまま引き継がれ今に至りますが、1980年代に入ると一部に液晶パネルが採用されたデザインが時代の波に乗って登場します。その後液晶メーターは確実に増え、カラー液晶も登場する様になりました。

 昔ながらのアナログメーターが好きだと感じていらっしゃるライダーはたくさんいますし、魅力の一つと言えます。ただバイクのメーターは、ただでさえ雨風に晒され厳しい環境下にありますし、バイクのメーターで一番大切な事は画面が綺麗かどうかではなく、情報を瞬時にライダーに伝える事です。

 バイクも技術の進化を続ける中で、電子制御システムの搭載はどんどん進んでいます。先に起筆しましたOBDⅡ搭載の義務化もありますし、それ以前に現在では燃料供給システムなどが無い事は考えられません。ECUが緻密な制御を実現する事で環境問題にも対応し、それだけではなくブレーキシステムや車体姿勢、スロットルポジションセンサーや点火タイミング、スロットル開度などあらゆるコントロールを可能にし、ただ速く走るだけではなく、効率よく走る為のコントロールも可能にしています。

 電子制御デバイスの可能性が広がったという事は、情報量が格段に増えた事を指します。情報量が増えるという事は、それに等しくライダーが把握しなければいけない事が増えると言う事です。電子制御化が一挙に進み、これらの情報を表示する必要性もあり、2010年代に入るとTFT液晶メーターが採用されるようになっていきます。

 TFT液晶(Thin Film Transistor Liquid Crystal )は1990年~2000年代に著しく発展します。TFT液晶はLCDの一部(TFTはLCDを作成するために使われる技術の1つで薄い膜上のトランジスタを使用した液晶と言う意味です。)であり、その技術はLCD(=液晶ディスプレイ)に不可欠な存在です。

 TFTは小さな電子スイッチになっていて、個々の画素をコントロールしています。この小さな電子スイッチに電圧が印加される事で、液晶分子の配列が変化して、光を通したり遮断したりします。また応答速度が速く、液晶の向きを今まで以上に細かくコントロ―する事が可能な為、動きの速いコンテンツ(動画やゲーム等)もスムーズで、且つ色の再現に優れています。

 このTFT液晶がメーターに本格的に採用されるようになったのは2010年代頃からです。ドゥカティなどの海外メーカーが先立って採用し、電子制御化により得られた情報をまるでスマホ画面に表示するかの様になりました。より複雑になる情報を、よりわかりやすく表示する為に現在TFT液晶は使用されています。

 機械的な存在からどんどん電子制御に変遷しているのは車だけではありませんし、EVはバイクの世界にも見られる様になっています。ですが、旧車でもEV車でもお客様にとっては大切な相棒である事に変わりはありません。バイク・車の事でお困り事などございましたら、お気軽に東伸自動車までお問い合わせ下さい。

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