【YAMAHAヤマハ シグナスX】メーターパネルの液晶文字が見えない!!偏光板の液晶焼けを門真の整備士が打開!!

 今回お客様からお預かりしたのは、YAMAHAヤマハのシグナスXです。2015年にフルモデルチェンジされて、125ccバイクの完成形と言われています。見た目はスタイリッシュでシャープですが、収納力もあり日常使いに人気のモデルです。

 今回お客様から、液晶画面が見えないとのご連絡を頂きました。この種の不具合は、夜ならまだしも昼間は全く見えない場合もありますし、メーターの視認性が低い状態はストレスにもなります。  紫外線によって液晶裏の反射板が経年劣化して表示不良に繋がっていると思われますので、門真の整備士が古い偏光板の摘出と新しい偏光板への交換をしましたので、まとめたいと思います。


●お預かりしたお車

メーカー・ブランドYAMAHA ヤマハ
シグナスX
型式SE44J
エンジン (パワートレイン)空冷4ストローク・単気筒SOHC4バルブ
年式・初年度登録 2016年
走行距離23599㎞

故障の症状

  偏光板の劣化によりメーター表示が薄くなり、見えづらい状態。電源を入れても液晶表示が薄く、燃料メーター等が読み取りにくい。安全面からも修理が必要。

 今回お預かりしたバイクは125ccなので対象ではありませんが、バイクも250cc以上になると車検が必要になってきます。バイクのメーターは、走行距離の他に速度計、回転計、時計などが表示されていますが、ODOメーター(Odometer=総走行距離)が表示されない場合は車検には通りません。安全面や車検の事を置き去りにする事はもちろん論外ですが、何より普段使用していて不便である事は容易に理解出来ます。

 ODOメーターは、バイクが製造されてから現在に至るまでの総走行距離を表示する計測器の事です。道路運送車両の保安基準によって、設置が義務づけされていますので、全てのバイクにはオドメーターが搭載されています。条文には「運転席から容易に確認できる方法と位置に取り付けること」と定められています。 

【道路運送車両の保安基準第46条】
第46条 自動車(最高速度20キロメートル毎時未満の自動車及び被牽引自動車を除く。)には、運転者が容易に走行時における速度を確認でき、かつ、平坦な舗装路面での走行時において、著しい誤差がないものとして、取付位置、精度等に関し告示で定める基準に適合する速度計を運転者の見やすい箇所に備えなければならない。ただし、最高速度35キロメートル毎時未満の大型特殊自動車及び農耕作業用小型特殊自動車にあつては、原動機回転計をもつて速度計に代えることができる。 2 自動車(カタピラ及びそりを有する軽自動車、最高速度20キロメートル毎時未満の自動車及び被牽引自動車を除く。)には、運転者が運転者席において容易に走行距離を確認できるものとして、表示、取付位置等に関し告示で定める基準に適合する走行距離計を備えなければならない。ただし、最高速度35キロメートル毎時未満の大型特殊自動車及び農耕作業用小型特殊自動車にあつては、原動機運転時間計をもつて走行距離計に代えることができる。

故障箇所の特定と診断

 偏光板が紫外線の影響を受けて、変色してしまっている状態。表示が薄くなっています。

 液晶はそれ自体が光る訳ではなく、外部電源が加わる事で明暗を切り替えています。

 偏光板は液晶パネルを(画面)を構成する要素の一つです。多方向から入ってくる光に対して、特定の光だけを通過させたり、他の方向に振動する光を遮断するなどして、画面のコントラストを向上させています。その為、偏光板が劣化してしまったメーターパネルは液晶が見えづらくなります。

 上図にもありますが、偏光板は特定方向に振動している光のみを通します。それ故に、一層目と二層目(上図のピンクの部分)では、偏光板は90度向きを変えて配置されます。「垂直の光だけを透過させる」偏光板と「垂直ではない光を反射する」偏光板、2枚の偏光板で光の振動を一定の方向に整える事によって、私達の目に画像や文字が見える仕組みになっていますので、液晶画面には必ず偏光板が必要です。

 紫外線と聞くと、お日様を思い浮かべる人も多と思いますが(上記のサンプル画像もそうですが^^;)、蛍光灯やLED電球からも紫外線は出ています。太陽光からは一年中紫外線が降り注いでいますが、太陽光に含まれる紫外線の割合はたったの5%しかありません。それでもこれだけの影響が及ぶのですから凄いとしか言い様がありません。(※LEDには紫外線が含まれているタイプと含まれていないタイプがあります。紫外線が含まれている場合でも、380nm以上の電磁波は含まれていないので蛍光灯などに比べると日焼けによる劣化スピードは緩やかです)

 余談ですが、剥がした偏光板から酸っぱい臭い(酢酸臭)がする場合は「ビネガーシンドローム」と言います。ビネガーシンドロームの場合は、液晶画面が黒っぽく溶けたような跡が現れます。原因はフィルムが加水分解した事で性質が変わってしまう、または樹脂の収縮等が原因として考えられます。

【ビネガーシンドローム】
液晶部の偏光板の劣化の事を言います。樹脂を使った製品が経年劣化により、加水分解で変性・変形する際に酢酸が生じます。この時酢酸臭が発生する事からビネガーシンドロームと言われます。

●故障修理の内容と費用

 シグナス本体からメーターだけ取り外し、バラしていきます。メーター自体はビス(数本)なので、ここはスムーズに進んでいきます。針を外すと後々大変なので針に触れない様に慎重に外して行きます。

 次に、メーターの基盤裏側にある爪を曲げて、液晶パネルを取り外します。古い偏光フィルムを剥がしたら、新しいフィルムの交換に移ります。古いフィルムを剥がした後はクリーナーで綺麗に掃除します。

 カットした偏光シートの向き(角度)を確認しながら、貼り合わせていきます。気泡が入らない様に、汚れが付かない様に結構気を使います(汗笑)

 今回のバイクは大丈夫でしたが、状態が悪いバイクになると、プラスチックが劣化して、粉がボロボロ落ちてくる事があります。

 見えづらく不便だったメーターが、手を加える事で文字がクッキリと表示され、利便性や安全面が戻りました。

作業内容・部品等工賃部品代
メーター液晶 貼り換え修理17,000円 
合計17,000円
消費税1,700円
総計18,700円
2024年9月現在

修理後の様子

 修理後メーター本体の掃除をして、車体に取付けたら完成です。きれいに表示されるようになりました。

お客様に状況をご説明させていただくと同時に、修理後の様子をご確認して頂きました。喜んで頂けて本当によかったです。

 こちらのお客様はお住まいが門真(大阪)以外だったため、当初は「自分で取り外すのでメーターだけ送ってはダメか?」とのご依頼でした。時には遠方からのご依頼もあり(本当に遠いところでは九州や北関東などからのご依頼も有ります。)状況に合わせて、お受けさせて頂いているのですが、今回はたまたま門真方面に別の用事が出来たからと、弊社に寄って下さりバイクを預けて下さいました。

まとめ

 お客様からバイクの偏光板の劣化(液晶焼け)による修理依頼を受ける度に、お日様って凄い!と思わされます。日焼けを起こす作用が、バイクのメーターを痛めてしまうというマイナス面もありますが、逆に紫外線にはメリットもあります。ただこれは対人の場合で、モノ(バイク)にとってはあまり良い事は浮かばないのが紫外線の影響ですね。

【紫外線のメリット】
①殺菌作用
紫外線には細菌のDNAを破壊し増殖を抑える力があります。
洗濯物も外干しする事で殺菌することが出来ます。

②ビタミンDの生成
私達に不可欠なカルシウムのバランスを整えたり、骨を丈夫にする「ビタミンD」を育成する力が紫外線にはありますので、骨や歯の形成を助けてくれます。

③幸せホルモン「セロトニン」が分泌される
紫外線を浴びると幸せホルモンと呼ばれる『セロトニン』が分泌されます。セロトニンには感情を整えたり、安定させる働きがありますので前向きな気持ちになれます。

④体内時計を整えてくれる 朝起床した時に、日光を浴びる事で脳内の体内時計が反応します。体内時計の新号で睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌が止まり、睡眠から覚醒へと切り替え、生活リズムを整えてくれます


【紫外線のデメリット】
①日光を浴び過ぎてしまうと皮膚細胞が傷つき、シミ・シワ・たるみの原因になる色素沈着を助長しますので、肌の老化に繋がります。

②目の水晶体は紫外線を吸収するフィルターの役割がある為、紫外線が目に入り過ぎると、角膜の炎症や白内障の原因になります。

 夏になると日焼け止めを塗るなどして、人は予防をしますが、バイクはそういう訳にはいきません。屋内保管できれば理想ですが、難しいのが現実です。そうなると、バイクは常に日光や雨に晒され続ける事になります。ボディの塗装が色褪せてしまったり、樹脂製のパーツが劣化して痛み、脆くなったり割れたりします。特にゴムやプラスチックで出来たパーツは紫外線の影響を受けやすいので、バイクカバーをかけずにいると劣化や硬化の症状がみられるようになります。

【紫外線がバイクに与える影響】
①外装の劣化
紫外線はバイクの外装部分(特にプラスチックやゴム素材)を劣化させます。 長時間日光に晒されると、色褪せやヒビ割れが発生し、外観が悪化します。

②タイヤの劣化
ゴム製のタイヤも紫外線に晒されると劣化します。 紫外線はタイヤのゴムを硬化させ、ひび割れや損傷の原因となり、タイヤの寿命を縮めることがあります

③シートの劣化
シートカバーの素材が硬化・劣化し、ひび割れ等が発生します。これにより防水性が失われます。

④その他
電装系への影響 クリアパーツの曇りなど

 またバイクカバーを利用する事や、保護剤(ラバープロテクタントやポリメイト、ワックスやコーティング等)を利用して予防する事で、劣化の進度を抑制する事が可能です。バイクカバーは本体保護の観点以外にも、盗難防止にも一役買ってくれますので、バイクロックなどと併せてご利用される事をお勧め致します。

 メーターの場合は、メーターカバーを利用するのも有効です。紫外線だけではなく、埃や汚れからもバイクメーターを守ってくれます。聞き慣れたところでは、保護フィルムというのもあります。スマホなどに利用するアレです(もちろんバイク用)。バイクの使用環境はとても過酷ですので、フィルムを利用する事で、紫外線の他に傷からメーターを守ってダメージを減らしてくれます。紫外線による液晶焼けを防ぐ為にも有用です。

 そして何よりご理解頂きたい事は、バイクも車同様メンテナンスが欠かせません。特にチェーン周りは錆の影響が出やすく、放っておくと燃費が低下したり、事故に繋がる恐れもあります。

 スクーターと言えどメンテナンスに関しては排気量の大きなバイクや車と同じです。突然エンジンが掛からなくなった、マフラーから黒煙が出る、異音がする等、不具合が起こる原因の多くはメンテナンス不足です。 スクーターはとても便利な乗り物です。小回りがききますし、「ちょっとそこまで」行くのに使い勝手がいい事は言う迄もありません。それだけに利用頻度が高くなり、その分メンテナンスの必要性に気付かないまま乗り続けてしまう事も有ります。

 排気量の大小に関わらず、エンジンオイルやエンジンオイルフィルター、エアクリーナーなどそれぞれに合った時期に合わせて、定期的にメンテナンスする事をお勧め致します。何をしたらいいかわからないと思われる場合は、洗車からはじめてみるのは如何でしょうか?洗車をして綺麗になったご自身のバイクをご覧になられたら、新しい発見があるかも知れません。それはもしかしたらバイクが一段と好きになる発見かもしれませんし、サビやキズかもしれません。ですがこの発見が大切です。長く愛用される為にも、日頃のメンテナンスとオーナー様が関心を寄せられる事が、車やバイクにとって何よりの効能になります。

 もしバイクやお車の事でお困り事などございましたら、大小に関わらず東伸自動車迄お問い合わせ下さい。

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