【日産 NV350 LDFキャラバン】 車検・構造変更 セカンドシートを外して定員変更 「荷物を積んだまま車検を通す」 大阪府門真市の整備士が徹底解説!

 お仕事で車を利用されている方はたくさんいらっしゃると思います。使い勝手よく整理され、取り出し易くする為に引き出し等のアイテムを使って、上手に収納されているお客様のお車を拝見する度に、凄いなぁ~と感心させられます。

 今回お預かりしたお車は、やはりお仕事のバディとして活躍中!!日産のNV350キャラバンです。今回構造変更する事で、荷室を確保すると同時に、車検の度に荷棚を積み降ろす手間を省く事が可能になりましたので、まとめたいと思います。

●お預かりしたお車

 積載量では定評のある日産キャラバンを、今回お預かり致しました。ビジネスユースとして沢山のお荷物(道具)が整然と積み込まれた荷室を拝見すると、まるで道具達が「いつでも出動出来るで!!」と言っている様です。

メーカー日産
車種NV350 キャラバン
グレードDX ロングボディ 6人乗り
型式CBF-VR2E26
年式・初年度登録2019年度

お車は「小型貨物車」を表す4ナンバー車になります。


【Point 1】

☆4ナンバーなので、毎年車検が必要!!

☆物の輸送を目的とした車の為、乗車スペースよりも荷室の方が大きい。
 荷室の床面積が1㎡以上必要。  
 乗員の重量(55㎏×定員数)<積載重量

☆乗車部分と貨物部分との間に仕切りや壁が必要。  
 最大積載量が500㎏以下の場合はこの限りではない。

☆全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2.0m以下、排気量2,000cc以下

☆リヤドアの運び出し口が縦横80㎝以上

●お客様のご要望

 お客様のお車には、工事で使用する道具などがギッシリ詰まれています。この道具類を収めているのがお客様手作りの荷棚です。毎年、車検の度に積降する事を考えると確かに億劫と申しますか、車検が近づいて来る度にテンションが下がるのも頷けます。その為、ご要望としては「車検の度に発生する荷棚の積み下ろしを回避したい。」と言うものです。他にも2列目の座席を使用していないので、取り外してその分荷室を広げたいとのご要望でした。

●構造変更の内容

 座席の取り外しに関しては、問題無く終了しました。ですが今回構造変更の中核になるのは「車検の度に発生する荷棚の積み下ろしの回避」です。

 お客様はご自身で荷室を作り込まれています。採寸をしっかりされた上で、木材を組んでボルトで固定されていますので、荷崩れを起こす心配やその片鱗は見当たりません。ではこのまま、座席を取った事(乗車定員の変更)に対しての「構造等変更の手続き」で良いのでしょうか?

 ここから少し複雑になりますが、お客様が仕事の為に設置された棚が、「積載物」なのか「車の構造物の一部」なのかによって変わってきます。「車の構造物の一部」になると、重量税が上がります。


【Point 2】 貨物の場合の最大総重量は

➡ 車両重量+(最大乗車定員×55㎏)+最大積載量になります。  

  車両重量=人や荷物が乗っていない状態で「運転出来る状態の重さ」の重量を言います。           

  車自体の重さに満タンの燃料、規定量のオイル等の重量が含まれます。
  車両総重量=車両重量+人や荷物を最大量迄積載した状態の重量を言います。           
  乗車定員1人あたり55㎏で計算。

 普通乗用車(3ナンバー)の場合であれば、自動車税は「総排気量」で決まりますが、4ナンバーの場合は「最大積載量」で税額が決定しますので、お客様の設置された棚等を固定してしまうと「車の構造物の一部」となり、結果重量税がアップしてしまう恐れがあります。これでは構造変更する意味が無くなってしまいます。


【Point 3】
積載物という事は・・・
☆工具を使用せずに取付けが出来る事。=簡易取付け限定
 ボルトナット・溶接・リベット等で恒久的に取り付ける事はNG.  

https://www.mlit.go.jp/jidosha/kensatoroku/kensa/kns07_1.htm

詳しくは、国土交通省「自動車の用途等の区分について」をご参照下さい。

 今回、お客様の作られた荷棚を拝見してラッキーだったのは、

①棚と車を固定していない。

②スチールやアルミなどを使用していない

この2点です。

 木材は腐ったり壊れたりする恐れがあります。それをもし車体に固定して「車の構造物の一部」になってしまっていたら大変でした。もし「車の構造物の一部」なのに棚が壊れたから取り外したとなると・・・、極端に言うと違法車両という事になります。

 スチール等を使用して荷棚を作られていて、もし重量が大幅に増加してしまったら…、今迄以上に税金を支払わないといけなくなったかもしれません。それに車体重量が±50㎏を超過している場合は、構造変更の手続きが必要になります。

 この辺り、しっかりお車を拝見して、構造変更にも車検にも問題無い事が確認出来ました。

●構造変更で消えた算定燃費値取得済証

 お客様とご相談を重ねながら構造変更に関する手続きを進めてきました。セカンドシートの取り外し、荷室のチェック等、お客様により満足して頂く為に様々な角度から点検しました。

 構造変更にはそれなりの費用が必要です。それでもお客様に「構造変更して良かった」と言って頂く為には、不安要素は残したくないと門真の整備士は思っています。

 それが「算定燃費値取得済証」の取得です。メーカーの連絡し再取得するのですが、何が解せないかって、構造変更するとこの「算定燃費値取得済証」が取り消されるという点です。


【Point 4】

構造変更をすると算定燃費値取得済証が取り消される。

環境性能に優れた車=エコカーは減免対象になるので、算定燃費値取得済証が取り消されるという事は、税金を余計に払わないといけなくなる。

 少しバタバタしましたが、ディーラー(メーカー)に連絡をして、算定燃費値取得済証を取得。これと以下の書類も持参した上で受検し、無事に手続きを終える事が出来ました。

国土交通省「特定改造自動車のエネルギー消費効率相当値の算定実施要領」の制定等についてより引用

https://www.mlit.go.jp/jidosha/tokuteichuko


【必要な書類】
 ・新規検査等届出書(第1号様式) 
 ・自動車検査証
  ・自動車損害賠償責任保険(共済)証明書
 ・点検整備記録簿
 ・自動車検査票
 ・自動車税納税証明書
  ※登録自動車は原則不要。
  ※地方税のシステムに反映されるまで相応の日数を要する場合があり、確認できない場合は、従来通り証明書の提示が必要になります。

・自動車重量税納付書
  ※重量税印紙を貼付、キャッシュレス決済の場合は不要。
・使用者の委任状(認印押印)
  - 委任事項(自動車検査証記入・構造等変更検査)
・所有者の委任状
  - 構造等変更検査に伴い、型式、車台番号又は原動機の型式を変更する場合
  -  委任事項(変更登録)
・手数料納付書
  ※自動車検査登録印紙を貼付、キャッシュレスの場合はその旨記載。  ・申請書(2号様式)

上記以外にも、「外観の形状及び寸法が明確に確認出来る外観ず又は写真」「重量分布計算、最大安定傾斜角度及び最小回転半径に関する書面「保安基準各条項の技術的要件の適合性に関する書面」等を準備する必要があります。

まとめ

  構造変更を一言で言うと「ルービックキューブ」の様だと思います。様々な手続き、技術的知識、必要な書類、本当にその作業は多岐に亘ります。

 根気よく作業する事で、ルービックキューブが一面ずつ出来上がっていくようです。安全基準という面、技術という面、書類と言う面、実作業と言う面、新たに知る事、本当に構造変更は奥が深く、門真の整備士は、毎回頭を活性化させながら臨んでいます(笑)

 ルービックキューブの全面が完成した時の喜び、最後の面、それはお客様の笑顔を見た時です。お客様がご自身のお車をご覧になられた時、お車に乗り込んだ時、お客様から「ありがとう」を言ってもらえた時、それが門真の整備士にとって、ルービックキューブの6面完成の瞬間です。

 ルービックキューブを全面完成させる為にはそれなりの手順が必要な様に、構造変更も同じです。今まで培ってきたノウハウと経験で、最善の手数と手法でお客様のお車をご担当させて頂きたいと思います。お車の事で、お困り事やご相談等ございましたら、お気軽にお問合せ下さい。

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