【DPF修理】ハイエース(GDH KDH)のDPFが故障?DPF再生が終わらない!スピードが出ない!強制再生も出来ない!大阪府門真市の整備士によるDPF修理!

 大気汚染の原因となる物質には実に200以上の種類があります。その中でも自動車から発生する大気汚染物質は世界で深刻に捉えられており、様々な対策が取られています。問題視されている内の1つはCO2です。世界で排出されているCO2の内約20%は交通機関から排出されています。交通機関と言っても飛行機や電車など様々な種類がありますが、乗用車がその20%の内どのくらいの割合を占めているのかご存知ですか?大きい割合を占めているのは飛行機や新幹線、大型トラック等の乗り物を想像するかもしれませんが、実は乗用車が半数近くの45%を占めています。結構驚きですよね。大型の船とか飛行機の方が排気量多いイメージでした。

 そのCO2の排出を0にする為に「脱炭素」・「カーボンニュートラル」という動きが世界でありますが、この動きはディーゼル車とも大きく関係しています。日本の大気汚染の対策として、まず乗用車の新車販売は2035年までに100%電動車にするという目標を掲げています。この目標が達成されれば、2035年以降はガソリン車やディーゼル車が新車で店頭に並ぶことは無く、新車で販売されるのはHVや電気自動車のみということですね。中古車はまだ手に入るのでご安心下さい。段階を踏み、2050年にはガソリン・ディーゼル車は乗る事も出来なくなるかもしれません。「2050年には自動車の生産・利用・廃棄を通じたCO2の排出を0にする」という目標が発表されていますから、ガソリン・ディーゼル車はこの条件をどう頑張っても満たすことはできないということですね。

 ガソリン・ディーゼル車は共に大気汚染物質を排出していますが、ガソリン車に比べてディーゼル車が排出している汚染物質は多くある為、ディーゼル車は政府から規制がかかっています。その規制とは、ディーゼル車が排出するNOx(窒素酸化物)とPM(粒子状物質)の1㎞あたりの排出量が国の基準で定められているというものです。この定められた基準値を下回る為に尿素SCRシステムやDPFシャッターなどの部品を導入し、汚染物質の排出を軽減させています。

 もしこの部品(排出軽減システム)に何か不具合が起きると、インジゲーターランプが点滅・点灯することによってドライバーも車の異常事態を認識します。ただ、この排気軽減装置の不具合には様々複合的な原因が絡み合っている場合がよくあります。一概にその部品自体の故障ではなく、それに繋がる部品が不具合を起こしているとしても“排気の異常”とインジゲーターランプは示す為に、複合的な原因だった場合修理の難易度が上がります。排出軽減装置に不具合が出ると、エンジン出力低下、スピードが出ない、警告灯が消えない、といった症状が現れます。

 今回はDPF警告灯、エンジン警告灯がついている、スピードが出ない、というご依頼でお客様からハイエース(ディーゼル車)をお預かりしました。エンジン・DPF警告灯が消えない、強制再生が終わらない、といったような不良に関しては実に様々な原因が複合的に生じている可能性があります。今回はその中の1つの事例について書いていこうと思います。

●お預かりしたお車

今回お客様からお預かりしたお車はこちらです。

メーカー・ブランドトヨタTOYOTA 
型式QDF-GDH206V
年式・初年度登録2018年
走行距離 

1893年、ルドルフ・クリスチャン・カール・ディーゼルによって発明された「ディーゼル車」。ガソリンに比べて燃費が良くかなりパワフルな加速・走行をできるこのディーゼル車は、魅力的ですよね。

ガソリン車とディーゼル車の違いを簡単にまとめておきます。

 ディーゼル車ガソリン車
燃料軽油ガソリン
燃費ガソリン車に比べて燃費は良いディーゼル車に比べると燃費は悪い
走行性能走り出しでも強いパワー高速走行時の加速が安定
車体価格ガソリン車より高いディーゼル車より安い
着火方式圧縮させた空気に燃料を吹きかけ、自然着火させる空気と燃料を圧縮させ、火花で着火させる
エンジン発火しやすい発火しにくい
維持費燃料費(軽油):安い メンテナンス費:高い燃料費(ガソリン):高い メンテナンス費:低い

クリーンディーゼル車について

 ディーゼル車の規制条例が設定された後、有害物質の排出量を抑えた「クリーンディーゼル」というものが誕生しました。このクリーンディーゼルを普及させる為に、2022年には国や地方自治体で補助金があったりしましたのも記憶に新しいです。ディーゼル車に比べてこのクリーンディーゼル車は有害物質の排出を大幅にカットし、振動・騒音の問題も軽減しました。

 また、既に終了してしまっていますが、クリーンディーゼル車は2023年末まで「エコカー減税」の対象でした。燃費の基準値を達成している車であれば、購入時の購入時の自動車重量税や、初回車検も免税の対象となっていました。このタイミングでクリーンディーゼル車に買い替えた方も多いかもしれませんね。

●故障の症状

 今回のお車は、DPF警告灯とエンジン警告灯が点灯し、スピードが出なくなったというご依頼です。冒頭に書いた通り、DPF警告灯・エンジン警告灯がつくのには様々な原因が考えられます。まずはDPFについて軽く勉強しておきましょう。

 DPFとはDiesel Particulate Filterの略で、日本語で言うと「ディーゼル微粒子捕集フィルター」。役割はその名の通り、ディーゼル車から排出される粒子状物質(PM)を補集して、大気中に出ないようにしてくれる部品です。ディーゼル車が吐き出している有害物質は、PM以外にもあります。NOx(窒素酸化物)です。これに関しては「尿素SCR」という仕組みを利用し、有害なNOxを無害なN2(窒素)とH2O(水)へと還元しています。

有害物質
NOx大気中のほかの物質と化学反応し、酸性雨や光化学スモッグの発生原因になる。
PM排気管から出てきている黒い煙。呼吸器への影響がある。
浄化装置
DPFディーゼル車から排出されている粒子状物質(PM)を捕集する
尿素SCRアンモニアを利用してNOxを無害な窒素と水に分解する

 もしご自身でDPFについて調べていたら、似たような単語が何個か出てきたかもしれません。これは少しややこしいようで全くややこしくない。実は全部同じものを指しています。各メーカーによって呼び方が異なっているだけなんです。統一してよ!!という気持ちですよね。

呼び名メーカー
DPF (Diesel Particulate Filter)ディーゼル微粒子捕集フィルター 三菱ふそう・日産・マツダ
DPR (Diesel Particulate Active Reduction System)排出ガス浄化装置 トヨタ・日野
DPD (Diesel Particulate Defuser)PM微粒子除去装置 いすず

 ではPMを捕集するDPFの仕組みについて簡単にお話しておきます。2003年に始まった「自動車排出ガス規制」によって、DPFの設置は義務付けられました。「DPFは有害物質(PM)を捕集する」ということは既にお伝えしましたよね。その集められたすす(PM)は、そのままにしているとすぐに詰まってしまうので燃やして処理します。この“燃やす”という仕組みが今回の修理記事では重要な部分になってくるので、覚えておいてください。

 ①エンジン内部で軽油を燃やして車を動かす
 ②軽油を燃やした時に出るすす(PM)をDPFで捕まえる
 ③捕まえたすす(PM)をDPFで燃やす
 ④きれいな空気を排出

 「燃やしているならDPFは半永久的に稼働する?」と思う方もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。何かしらの理由でDPFにすすが堆積してトラブルが起きる事も少なくありません。DPFにすすが詰まり浄化出来なくなると、 “DPF警告灯”や“エンジン警告灯”が点灯、または点滅します。

 今回お預かりしたお車は、警告灯がついているだけではなく走行中のスピードにも異常が出ています。しっかり故障の箇所を特定していきましょう。

●故障箇所の特定と診断

DPF不調のよくある原因がこちら↓ 


・DPFシャッターの故障

・インジェクターが詰まっている

・EGRバルブの詰まり

・サプライポンプの故障

 東伸自動車の整備士が診断した結果、上記のインジェクターの補正値やEGRバルブの動作、DPF シャッターの動作等の異常はありませんでした。よくある不調では無いという事。これは調べるのが難しくなってきました…。

 DPFを強制再生させ、測定した数値がこちらです↓

 この測定した数値では、経過時間に伴って水温と燃焼温度の変化を見る事ができます。このグラフを見ると、強制再生をした際の燃焼温度が低く、それに加えてエンジンを冷やすための水の温度も低いという現象が起きているのが分かります。強制再生した時、通常であれば排気温度は600℃ほどには近づくはずです。経過時間と比例して水温も排気温度も上がっていくはずですが、この測定した数値からは温度の上がり方にムラがあるのが分かります。

 ということはつまり、燃焼温度や水温に関連する部品に問題があるという事です。水温を調整している部品といえば、サーモスタッドです。このサーモスタッドは冷却水の門番の様な役割をしている、温度を管理している部品です。。クーラーコンプレッサーやベルトテンショナーを取り外すとようやくサーモスタッドが出てきます。

 すぐに原因を説明したいところですが、その前にまずは「サーモスタッド」について説明しておきます。この部品を知っていないと故障原因の理解が難しいです。もし知ってるよ、という人は原因解説まで飛ばしてください。

 まずサーモスタッドを説明するのには、「ラジエーター」という部品の説明が必要になってきます。ラジエーターとは熱くなった水を冷やす為の装置です。エンジンの周りを循環して熱くなった水はラジエーターを通り冷やされ、それがエンジン周りを再度循環します。このラジエーターの働きによりエンジンのオーバーヒートを防がれています。しかし、このラジエーターが行っている「温度を下げる」という行為は、実際には本当に下げたい時しか必要ありません。ずっと冷却されていたらエンジンが温まらずに暖機できなくなってしまうからです。常にラジエーターに水を冷やしてもらう必要は無いという事です。

そう、ここで必要になってくるのが「サーモスタッド」!サーモスタッドの仕組みについて説明します。まずは図をご覧下さい。

①エンジン内を循環させて暖機させる(サーモスタッドは閉まっている)

②ラジエーターを循環して冷やす(サーモスタッドが開いている)

 サーモスタッドはエンジンとラジエーターの間に設置されていて、エンジン周りから流れてきている水をラジエーターに送るかどうかを決める門番のような役割を担っています。エンジンが低温の時は道を塞ぎエンジン内だけを循環させ続け、暖機させる。高温時には道を開き、ラジエーターで冷えた水を利用しエンジンの熱を適温に保つよう冷やします。ではどうやって道を開閉しているのかというと…。サーモスタッド自体が燃焼温度によって「膨張」「収縮」し、開閉しているんです。しかも、“開ける(100%)!”“閉じる(0%)!”の二択ではなく、0%-100%の間で開き具合を調整しています。つまり、サーモスタッドはエンジンの適温を保ってくれているんですね。

低温時サーモスタッドを閉じてエンジンを暖機させる
高温時サーモスタッドを開いてエンジンを冷ます

ではここで本題に戻りましょう。原因の特定です。

取り出したサーモスタッドがこちらです。

取り出してみて原因判明!!なんとサーモスタッドの隙間が常に開いてしまっています。

 本来であればサーモスタッドの隙間が開くのは高温になった時。常に開いているということは、どういうことかもう皆さんお分かりですか?冷却水は常にラジエーターに循環し、その冷却水によって冷やされ続けエンジンが温まり切らないということです。

 もしこの常時開放型の不具合が冬に起こってしまうと、ただでさえ外が寒いのに中からも冷やされてエンジンが全く温まらないという現象が起きます。それだけではなく暖房も全く効かなくなります。想像するだけで凍えてしまいますね…。この現象はこのように冬だと気付きやすい不具合ですが、逆に夏になるとラジエーターを通していたとしてもすぐにエンジンは温まるのでなかなか気付きにくいです。反対に、サーモスタッドが開かない不具合が起きた場合は水がラジエーターに回らないのでエンジンが全く冷えず、夏には冷房が効かないという症状が出ます。

 原因はこれで判明したので、診断に移りましょう。

 これで車の不調の原因はサーモスタッドだと判明しましたが、今回ご相談に来ていただいた理由はエンジンの不調とDPF警告灯でした。なぜエンジンの温度管理をしているサーモスタッドがDPFの不調の原因になったのかをここから説明します。(集められたすす(PM)は燃やして処理しているということを思い出しておいて下さい)

 まずエンジンとDPFがどう繋がっているのかを簡単に図で表したのがこちらです↓

 エンジンから排出された排気ガスが、外部に出る前にDPFを通る。という仕組みですね。冒頭で説明した様に、そもそもディーゼル車にはDPFという大気汚染物質を軽減させるシステムを付けることが必須になっています。「DPFはPM(すす)を燃焼させて浄化するシステム」というのも序盤に説明しました。この燃焼させる流れの事を、「DPF再生」と呼びます。どうやってPMを燃焼させているのかというと、エンジンから排出されているガスの温度を上げることによって自動で燃焼させています。このDPF再生というのは、車の状態が一定の条件に当てはまったときに起きます。一般的には走行中のエンジン回転数が上がって、水温が80℃ほどになったタイミングで自動燃焼が始まっていく仕組みです。

『故障の症状』でDPFの説明をした時に、“燃やす”というワードが大事になってくると書いたのを覚えていただけているでしょうか。今回はそれがカギになってきます。“燃やして”すすを処理しているということは、単純明快大事な要素は”温度”ですよね。燃やすためには高温が必要です。サーモスタッドが開きっぱなしになる不具合により、冷却水で冷やし続けられているエンジンはなかなか温度が上がりません。エンジンの温度が上がらないということは、エンジンから出てくる排気ガスの温度も上がっていない。排気ガスの温度を上が上がっていないという事は、DPF内の温度がですすを燃やす温度に達さず、燃やしきれないということです。

 
サーモスタッドの開閉不調によりエンジンの温度が上がらない
     ↓
排出されている排気ガスの温度も上がっていない
     ↓
DPF内が適切な燃焼温度に達していない
     ↓
内部の煤が燃え切らずに残る  

以上が今回東伸自動車の整備士が下した診断です。

 原因、診断が終わったので修理していきましょう。

●故障修理の内容と費用

 ではここからは実際に行った修理について書いていきます。まずは壊れていたサーモスタッドを新品に交換します。

 2つを並べて比べてみると、新品(左)のサーモスタッドには隙間が無く、不具合を起こしていたサーモスタッド(右)には隙間があるのがはっきりと分かります。

 念の為にDPFクリーナーも投入しました。よく攪拌した後に再度強制再生を行って溜まった汚れを洗浄して完成です!DPFクリーナーは、DPF内に蓄積している汚染物質を溶かしてくれる液体のクリーナーです。このメンテナンス方法はコストもかなり低く抑えることができるので、高額な修理費用が発生しないように定期的にクリーニングすることをおすすめします。

作業内容・部品代工賃部品代
DPF再生 不良 診断30000円 
サーモスタッド交換13000円1900円
燃料補充 1700円
合計43000円3700円
消費税4300370
総計 約51,000円

 今回はDPF自体の故障では無くサーモスタッドの不具合による異常発生でしたので、この修理内容、修理費用でした。ただ、DPF自体が損傷してしまうケースももちろんあります。

 今回のようにインジゲーターランプが点滅、点灯している等の症状で専門業者にご相談いただければDPF自体が故障する前に修理することができます。が、万が一インジゲーターランプの点灯を放っておいた場合、それは直接的にDPFの故障に繋がっていくので放置せずにすぐにディーラーや特定の整備工場に見てもらって下さい。

 日頃からメンテナンスでDPFを長持ちさせる事はもちろん可能ですが、どうしても対処できない事があります。それは経年劣化。DPF内ではかなりの高温ですすを燃焼しているので、長期間使用している事による経年劣化はどうしても避ける事ができません。

 さて、万が一DPFが故障し交換する事になってしまった場合、修理とは違って金額はかなり跳ね上がります。車の大きさ等によって金額は変わりますが、大体50~60万円ほどの費用がかかります。ここまでの費用を発生させない為にも、定期的なメンテナンスを心がけるようにしましょう。

●修理後の様子

 サーモスタッド交換後、燃焼温度はしっかり600度近くまで上昇水温も適正値に戻りました!

 強制再生も20分ほどで完了し、試運転も良好です♪

 データの一部がガクッと下がっている箇所がありますが、これはこちら側の機械の不備ですので、お車とは関係ありません。

●DPF再生についてのお話

説明文の中に定期的に出てきたDPF再生について、ここで少し説明しておきたいと思います。文中に書いたDPF再生は大前提として「自動再生」のお話をしていましたが、実は再生には3種類あります。

「自動再生」「手動再生」「強制再生」の3つです。

「自動再生」:一定量のすすが溜まると、車の走行中に自動的に燃焼を開始する。一般的には走行中のエンジン回転数が上がって水温が80℃近くまで上がることが条件。自動再生中にエンジンを切ると燃焼が出来ずすすが詰まるので注意。

「手動再生」:名前の通り、人間の手で行う再生方法です。車を止め、高回転のアイドリングを行います。その後、インジゲーターランプ(DPFランプ)を押せば手動再生が始まります。ディーゼル車に乗っている方はこんなインジゲーターランプを見たことがあると思います。

このマークはDPFが詰まってきているという警告のサインです。できるだけ早く対処しなければいけません。同じマークでも、点滅・点灯で意味が少し異なってきます。

点滅・どのメーカーでも、点滅してから50kmほどは走行して問題なし。 ・出来るだけ早い対処が必要。車を止めてDPF手動再生を行いましょう。
点灯・点滅を無視し続けた場合に点滅から点灯へと変わる。 ・点灯した場合、車によってはエンジンに制御がかかり、速度が出なくなる。最大で40km/h~50km/h。 点灯してしまった場合、ドライバー自身で再生することは不可能に。このインジゲーターランプを消すにはディーラーや整備工場に行って見てもらうしか無くなってしまいます。

「強制再生」:ディーラー・特定整備工場のみが行える最終手段。特定の機械(コンピュータ診断機)を用いて強制再生を行っていきます。強制再生時にはDPF内の温度は600℃近くまで上昇させ、残っているすすを再燃焼させることができます。

 ※この強制再生は高温(600℃)の為、DPFにかなり負荷をかけます。あまり回数を重ねてしまうとDPF自体が解損してしまう可能性もあるので、注意が必要です。

●DPFの詰まり、メンテナンスについてのお話

DPFが詰まると排気の流れが悪くなり、“スピードが出ない”・“燃費低下”等のお車の不具合に繋がっていきます。その詰まりを解消するメンテナンスがDPFクリーニング。

DPFクリーニングは、フィルターを外して専用の装置で洗浄する作業です。DPFは自動ですすを燃焼しているものの、長期間使用しているとどうしても詰まってきてしまう事があります。経年劣化ですね。この詰まりに対する対処は、ご自身で行う手動再生やディーラーでの強制再生、洗浄剤等で予防・解決できます。

すすとは全くの別物で、DPFに詰まってしまう更に除去が大変なものが存在します。それは「アッシュ」という物質です。

アッシュエンジンオイルの金属成分(リン・カルシウム)が燃え切らずに残り、DPFに溜まって凝固されてできたもの。

この物質はすすのようにDPF再生や洗浄剤では絶対に除去ができないのでかなり大変なものです。「そもそもアッシュが生成されないようにすればいいんじゃないか?」と思いますが、これはエンジンオイルから生まれるものなので、エンジンオイルを使用している限り不可避なんです。ただ、エンジンオイルにも種類があるのでアッシュを生成しにくいオイルももちろん販売されています。アッシュが生成されないオイルとしては、2022年9月1日に業界初の無リン無灰のディーゼルオイル「idemitsu AshFree」が販売開始されました。これはDPFの目詰まりとなる灰を排出しないエンジンオイルで、DPF寿命が大幅にアップするものです。寿命が延びることによって、メンテナンス費用のカットやDPF再生時間の短縮にも繋がりました。これ以外にも整備士の業務負担低減や、燃料消費量の削減にも貢献しています。

ではどのくらいを目安にDPFを洗浄すればいいの?と思いますが、DPF洗浄が必要になってくるのは目安としては走行距離が10万キロ当たりの時です。DPF洗浄の費用としては、3万円~9万円ほどかど思います。DPFを交換すると最低でも30万円以上なので、やっぱりメンテナンスをしておく事がとっても大事ですね。

アッシュ除去は分解して洗浄していくのが一般的です。もしDPF再生しても警告灯が頻繁についたりする場合は、すすが溜まっていたりアッシュが生成されてしまっている可能性があります。こうなると中を見てみないと分からないので、ディーラーや整備工場に依頼して車をみてもらいましょう。

●これからのディーゼルエンジンのお話

序盤にお伝えしたように、ディーゼルエンジンは2035年には新車発売中止、2050年には使用中止にする目標が立てられています。ディーゼルエンジンが好きな方からしたら少し寂しい気持ちもあるかもしれませんね。

 そんな方に朗報です。近年新しいエネルギー「次世代バイオ燃料」というものが開発されています。

バイオ燃料(バイオマス燃料)食品廃棄物・農業廃棄物・家畜の排せつ物等の生物資源(バイオマス)を原料としる燃料。 化石燃料の代替エネルギーとして注目されている。

 軽油とは違い、バイオ燃料は燃やしても実際の空気中のCO2の量は変わらないという大きな利点があります。

そもそもバイオ燃料は昔から存在していましたが、普及する事はありませんでした。今まで様々な面で問題があったからです。コストや場所確保の面ももちろんですが、食料を原材料としているので食糧不足の危険性等もありました。そんな従来バイオ燃料の問題点を解決したのが次世代バイオ燃料です。

従来のバイオ燃料と次世代のバイオ燃料の違いを簡単にまとめてみました。

従来のバイオ燃料・食料と競合する (トウモロコシ等の農作物から生産される為、穀物高騰や食糧不足に繋がる可能性がある) ・分子構造はFAME(脂肪酸メチルエステル) ・従来のバイオ燃料単体では使用できず、軽油に混ぜて使う必要がある。
次世代のバイオ燃料・食料と競合しない原料でできた燃料(微細藻類等) ・分子構造が石油由来の軽油と同じ炭素水素 ・軽油と混ぜる事なく、100%バイオ燃料で使うことが出来る。

マツダは同業他社に比べてかなり本腰を入れてバイオ燃料に取り組んでいます。ディーゼル車をバイオ燃料に対応させる予定で、2024年を目途に実施すると発表していました。

2023年5月26~28日に富士スピードウェイで開催された「ENEOS スーパー耐久シリーズ2023第2戦 NAPAC富士SUPER TEC 24時間レース」では、マツダは100%次世代バイオ燃料を使用して参戦していました。この100%次世代バイオ燃料はユーグレナという会社が開発している「サステオ」という名前の燃料で、主な原料は使用済みの食用油です。100%次世代バイオ燃料を使用したこのレースの結果は、しっかりとこの24時間レースを完走し、今後に期待出来る素晴らしい結果を残しました。

これから次世代バイオ燃料を普及させる為には、新車だけではなく既存(所有済み)の車にも問題なく使えるという事を如何に照明するかが課題だとマツダのエンジン開発部 森永真一さんがおっしゃっていました。ひとまず挙げている目標としては、年間25万kl、価格としては200円/lを目指しているそう。年間25万klという量は、現在国内の普通車の年間軽油消費量の内2%ほどにしかなりません。先は長くなってしまいますが、生産量がもっと増えて普及が広まれば価格は少しずつ下がっていくのではないでしょうか。

●まとめ

ディーゼル車の規制には2つ種類があります。1つは国が定めた「自動車NOx・PM法」、もう一つは東京、神奈川、埼玉、千葉、兵庫、大阪の自治体が定めている「条例規制」です。規制の中で定められた排出ガス基準に満たない自動車は、指定された地域では登録できなくなったり車検を受けれなくなったりします。例で挙げれば、古いランドクルーザーのディーゼル車はどちらの規制の基準も満たしておらず、対象地域の中古車店では販売されなくなっています。田舎では走ることの出来ていた車も、引っ越し等で規制のある自治体に行くと乗れなくなってしまうというような事が起きるかもしれません。しっかりお住まいの地域や運転する地域の規制を知っておきましょう。

今回お話した原因はサーモスタッドでしたが、DPF不良になりうる原因は8~10個、もしくはそれ以上の原因があり、しかもその1つ1つの原因が複合的に重なって起きる場合もあります。ご自身で不調を解明するにはかなり複雑な部分です。ディーラーに見てもらってもなかなか判断できず分からない、と回答されるケースもあるかもしれません。そんな時は是非門真の「東伸自動車」にご相談下さい。大切なお車が今後とも乗れるようにしっかりと診断、解決いたします。

 

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